判旨
有価証券の買付委託において、仲買人が委託者に先立って株式移転税を納付した場合、仲買人は委託者に対し、当該移転税相当額を請求する法律上の権利を有する。
問題の所在(論点)
証券仲買人が買付委託に基づき株式を取得した際、取得者に代わって株式移転税を納付した場合、仲買人は委託者に対して当該税相当額を請求することができるか(有価証券移転税法上の徴収義務と民事上の請求権の関係)。
規範
1. 有価証券の買付委託において、有価証券の取得者は委託者であるから、有価証券移転税法上の納税義務(同法4条)は委託者に帰属する。 2. 仲買人が納税義務者から税を徴収して政府に納めるべき義務を負う場合(同法12条2項)、仲買人は委託者に対して移転税を徴収する権利を有し、委託者は仲買人に支払う義務を負う。 3. したがって、仲買人が取得者からの徴収に先立ち移転税を立て替え納付したときは、取得者である委託者に対し、その金額を請求する法律上の権利を有する。
重要事実
1. 買付委託者(上告人)は、証券仲買人(被上告人)に対し、株式の買付を委託した。 2. 被上告人は、当該委託に基づき株式を落札し、その際に落札代金とともに株式移転税を支払った。 3. 当事者間には、代金等の支払を猶予し、期限までに支払わないときは契約を合意解除する旨の特約があったが、上告人は期限までに支払わなかった。 4. 被上告人は、上告人に対し、立て替えた株式移転税相当額の支払を求めて提訴した。
あてはめ
1. 有価証券移転税法4条によれば、税の負担者は「取得者」である。本件では被上告人は上告人の委託に基づき落札しているため、取得者は委託者である上告人にあたる。 2. また、同法12条2項は仲買人に徴収・納付義務を課しているが、これは仲買人に委託者からの徴収権を付与する趣旨である。 3. 被上告人が上告人の委託により株式を落札し、その際に税を納付した事実に照らせば、被上告人は法律上の規定に基づき上告人に対して移転税相当額の請求権を有する。当事者間に明黙の合意があったか否かにかかわらず、右請求は認められる。
結論
証券仲買人は、委託者に代わって納付した株式移転税相当額を、委託者に対して請求することができる。
実務上の射程
法令に基づき公租公課の徴収義務を負う中間者が、本来の負担者に代わって予めに公課を納付した場合の求償の根拠を示す。契約上の合意がなくとも、公租公課法の規定を根拠として民事上の請求権が認められるという構成をとる際に有用である。
事件番号: 昭和36(オ)1287 / 裁判年月日: 昭和39年9月4日 / 結論: 棄却
昭和三四年法律第一四七号による改正前の国税徴収法施行同時、同法に基づく国税滞納処分において、随意契約による売却決定がされたときは、買受人は、右売却決定により、買受代金納付期日までに代金を納付しないことを解除条件として、目的物の所有権を取得したものと解すべきである。