判旨
売買契約において買主が出捐した金員の現実の授受に売主が直接関与していない場合であっても、損害賠償責任の発生原因が認められる限り、売主はその賠償責任を免れない。
問題の所在(論点)
売主が金員の現実の授受に関与していない場合、その金額について損害賠償責任を負うか。また、過失相殺の前提となる代理人の過失が認められるか。
規範
損害賠償責任の有無は、原因行為(債務不履行等)と損害との間に相当因果関係が認められるか否かによって決せられる。金員の現実の受領という事実上の関与がなかったとしても、法律上の賠償責任を基礎付ける事由(帰責事由等)が認められる限り、その責任を否定することはできない。
重要事実
被上告人(買主)は、本件売買に関し合計37万5000円を出捐した。上告人(売主)は、そのうちの22万円について現実の授受に関与していなかったことを理由に、当該金額相当の損害賠償義務を負わないと主張した。また、債権者側の代理人Dに過失があったとの主張もなされた。
あてはめ
原判決によれば、上告人が賠償責任を負うべき理由は詳細に判示されており、22万円の現実の授受に関与しなかったとしても、賠償責任の発生自体は妨げられないと解される。また、代理人Dに過失があったと判断できる事実は認定されていないため、上告人の主張には根拠がない。
結論
上告人は、現実の授受に関与しなかった金員を含め、被上告人が出捐した全額について損害賠償責任を負う。
実務上の射程
現実の授受がないことをもって直ちに損害の範囲から除外することはできないという実務上の理を示している。債務不履行に基づく損害賠償請求において、出捐の事実と帰責性の判断を切り離して検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和34(オ)1254 / 裁判年月日: 昭和37年11月27日 / 結論: 破棄差戻
右受任者は、その受任義務が自己の責に帰すべき事由により履行不能になつたものとして、特段の事情がない限り、手形額面金額相当の損害賠償義務を負う。
事件番号: 昭和34(オ)598 / 裁判年月日: 昭和36年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買の目的物である建物が抵当権の実行により競落された場合、売主の債務は履行不能となり、原則として債務者の責に帰すべき事由によるものと解される。また、保証人は主債務者の債務不履行による填補賠償債務についても保証責任を負う。 第1 事案の概要:被上告人(買主)と訴外D(売主)との間で建物の売買契約が締…