米国に製品を輸出していた内国法人と米国において同種製品の製造技術につき特許権を有する外国法人との間で締結された和解契約の目的が,両法人間の上記特許権に関する紛争を解決して上記製品の米国への輸出を可能にすることにあり,その内容が,外国法人が内国法人及びその関連会社に対し,米国内における上記製品の販売等について一定の限度で上記特許権の実施権を許諾する一方,内国法人が外国法人に対し,米国内において内国法人又はその関連会社により上記和解契約の発効日前に販売等がされ,及び同日以降に販売等がされる上記製品に係るロイヤルティを支払うとするものであるなど判示の事実関係の下においては,上記和解契約に基づき内国法人から外国法人にロイヤルティとして支払われた金員は,内国法人の日本国内における業務に関して支払われたものということはできず,所得税法(平成14年法律第15号による改正前のもの)161条7号イ所定の国内源泉所得に当たる使用料ではない。 (反対意見がある。)
米国に製品を輸出していた内国法人と米国において同種製品の製造技術につき特許権を有する外国法人との間で締結された和解契約に基づき内国法人から外国法人にロイヤルティとして支払われた金員が所得税法(平成14年法律第15号による改正前のもの)161条7号イ所定の国内源泉所得に当たる使用料ではないとされた事例
所得税法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)5条4項,所得税法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)212条1項,所得税法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)212条2項,所得税法(平成14年法律第15号による改正前のもの)161条7号イ
判旨
外国法人に支払う特許権の使用料が所得税法161条7号イ所定の国内源泉所得に該当するかは、形式的な契約文言のみならず、契約の主たる目的や対価の実態から判断すべきである。米国特許権の実施許諾の対価として支払われた金員は、日本国内での製造・輸出を基準に算出されていても、実態が米国内での販売等を可能にするための対価であれば、国内業務に係る使用料には当たらない。
問題の所在(論点)
日本法人が外国法人に対し、米国特許権の実施権許諾等の対価として支払った金員が、所得税法161条7号イの「日本国内において業務を行う者から受ける……使用料で当該業務に係るもの」(国内源泉所得)に該当するか。
規範
所得税法161条7号イにいう「日本国内において業務を行う者から受ける……使用料で当該業務に係るもの」とは、特許権等の権利が日本国内での業務において実施・利用されることの対価を指す。その該否の判断にあたっては、契約の目的、実施許諾の範囲、対価の算定根拠等の諸実態を総合し、当該支払が「国内業務」における権利利用の対価といえるかを検討すべきである。
事件番号: 平成16(行ヒ)141 / 裁判年月日: 平成17年1月25日 / 結論: 棄却
米国法人の子会社である日本法人の代表取締役が,親会社である米国法人から親会社の株式をあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利(いわゆるストックオプション)を付与されてこれを行使し,権利行使時点における親会社の株価と所定の権利行使価格との差額に相当する経済的利益を得た場合において,上記権利は,親会社が同…
重要事実
日本法人である被上告人は、自社開発技術で製造したプリンター等を米国子会社に販売し、子会社が米国内で販売していた。米国法人乙社は、被上告人製品が乙社の米国特許権を侵害するとして輸入差止等を申し立てた。これに対し、両者は和解契約を締結。被上告人が「ロイヤルティ」として本件各金員を支払う代わりに、乙社は被上告人に対し、米国特許権に基づき製品を「世界中で製造」し、かつ「米国内で販売等」をする非独占的実施権を許諾した。支払額は日本からの輸出価格等を基準に算出されたが、主たる目的は米国内での販売継続と紛争解決であった。税務署長は、これが国内源泉所得にあたるとして納税告知等を行った。
あてはめ
本件契約の目的は、米国内のみで効力を有する米国特許権に関する紛争を解決し、米国への輸出・販売を継続することにある。本件各金員は、実態として米国内で販売される製品に係る米国特許権の実施料として支払われたものと解される。契約上「世界中での製造」の許諾や「紛争解決の対価」との文言があるが、これらは本体的合意に付随するものにすぎない。また、対価が日本の輸出価格等を基準に算出されていても、それは便宜上の算定手法にすぎず、国内業務(製造・輸出)そのものにおける権利利用の対価とは認められない。被上告人自身が米国で直接販売していない点も、子会社の事業を可能にする目的がある以上、判断を左右しない。
結論
本件各金員は、米国内での販売等に係る米国特許権の使用料であり、国内業務に係る使用料には当たらないため、国内源泉所得には該当しない。
実務上の射程
国際的な特許ライセンス契約における源泉徴収義務の有無が問題となる事案で活用する。特に、特許権の属地主義(米国特許は米国でのみ効力を有する)に基づき、支払対象が「どの地域の業務か」を特定する際の規範となる。あてはめでは、算定基準(国内出荷ベース等)という形式に惑わされず、権利の効力範囲や契約の真の目的を重視すべきことを強調する文脈で用いる。
事件番号: 平成25(行ヒ)166 / 裁判年月日: 平成27年7月17日 / 結論: その他
1 外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当するか否かは,まず,①当該組織体に係る設立根拠法令の規定の文言や法制の仕組みから,当該組織体が当該外国の法令において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白である…
事件番号: 昭和36(オ)1254 / 裁判年月日: 昭和37年10月2日 / 結論: 棄却
匿名組合契約の形式をとり、多くの人から資金を集めた場合にも、出資者が事業に参加する意思等も全くない場合は、右契約を、「匿名組合契約及びこれに準ずる契約」にあたらない。
事件番号: 平成10(行ツ)77 / 裁判年月日: 平成16年9月7日 / 結論: 破棄自判
会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益…
事件番号: 平成21(行ヒ)199 / 裁判年月日: 平成21年12月4日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)40条の4第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない。