構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ。
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶか
民法304条,民法369条(譲渡担保)
判旨
構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保権の効力は、目的動産の滅失により生じた損害保険金請求権(共済金請求権)に及ぶが、設定者が通常の営業を継続している間は、特段の事情がない限り物上代位権を行使できない。
問題の所在(論点)
構成部分の変動する集合動産譲渡担保において、目的物の滅失により発生した共済金請求権等に対し、物上代位権を行使できるか。また、その行使が制限される場合の判断基準は何か。
規範
1.集合物譲渡担保権は目的動産の価値を把握するものであるから、その効力は目的動産が滅失した場合に支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶ(物上代位)。2.もっとも、集合物譲渡担保は設定者の営業継続を前提とするため、設定者が通常の営業を継続している場合には、直ちに行使できる旨の合意等の特段の事情がない限り、物上代位権の行使は許されない。
重要事実
養殖業者である債務者は、養殖施設内の養殖魚を対象として債権者に集合物譲渡担保を設定した。設定契約では、通常の営業方法による販売と補充が認められていた。その後、赤潮により養殖魚が大量に死滅し、債務者は共済金請求権を取得したが、追加融資を受けられず養殖業を廃止した。債権者は、残存魚の売却代金を充当した後の残債権を被担保債権として、当該共済金請求権を物上代位に基づき差し押さえた。
事件番号: 平成10(許)2 / 裁判年月日: 平成11年5月17日 / 結論: 棄却
一 銀行甲が、輸入業者乙のする商品の輸入について信用状を発行し、約束手形の振出しを受ける方法により乙に輸入代金決済資金相当額を貸し付けるとともに、乙から右約束手形金債権の担保として輸入商品に譲渡担保権の設定を受けた上、乙に右商品の貸渡しを行ってその処分権限を与えたところ、乙が、右商品を第三者に転売した後、破産の申立てを…
あてはめ
本件では、養殖魚の滅失により生じた共済金請求権に譲渡担保権の効力が及ぶ。権利行使の制限について検討するに、債権者が差押えを申し立てた時点において、債務者は既に養殖業を廃止し、残存動産に対する譲渡担保権も実行されていた。したがって、債務者において目的動産を用いた営業を継続する余地は既になく、「通常の営業を継続している場合」には当たらない。よって、物上代位権の行使を制限すべき特段の事情は認められない。
結論
集合物譲渡担保権者は、設定者が営業を廃止している場合には、目的物の滅失により発生した共済金請求権に対して物上代位権を行使できる。
実務上の射程
集合物譲渡担保の目的物に対する価値把握の範囲を明示しつつ、設定者の営業自由(処分権限)との調和を図った判例である。答案上は、物上代位の可否を論じる際、原則として効力が及ぶことを示した上で、例外的に行使が制限される「通常の営業継続」の有無を、営業廃止の事実や担保権実行の有無から判断する枠組みとして活用する。
事件番号: 平成11(許)23 / 裁判年月日: 平成12年4月14日 / 結論: 破棄差戻
抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。
事件番号: 平成10(許)4 / 裁判年月日: 平成10年12月18日 / 結論: 棄却
一 請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足り…
事件番号: 平成13(許)30 / 裁判年月日: 平成14年6月13日 / 結論: 棄却
抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告においては,被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることはできない。
事件番号: 平成12(許)52 / 裁判年月日: 平成13年4月13日 / 結論: 棄却
抵当権に基づく不動産競売においては,抵当権の不存在又は消滅を売却許可決定に対する執行抗告の理由とすることはできない。