死刑の量刑が維持された事例(久留米の連続保険金殺人事件)
判旨
殺人予備罪の成立が認められた事例(最決平成25年3月28日)
問題の所在(論点)
刑法201条の殺人予備罪が成立するために必要な「予備」行為の意義、および情状による刑の免除(同条但書)の適否が問題となる。
規範
殺人予備罪における「予備」とは、殺人の目的をもって、その準備行為をすることをいう。また、同条但書の中止減免の規定は、自己の意思により予備行為を中止した場合に適用されるが、その判断にあたっては、準備行為の内容、犯行の具体性、中止に至る経緯等を総合的に考慮すべきである。
重要事実
被告人は、共犯者らと共謀し、特定の被害者を殺害する目的で、多量の睡眠薬を混入した飲料を用意した。さらに、犯行に使用する自動車や車両ナンバープレートを取得し、犯行現場の下見を行うなど、客観的に殺人の実行を容易にする準備を整えた。しかし、被害者が警戒して現れなかったため、計画していた殺害を実行することができなかった。
あてはめ
被告人の行為は、殺害の目的を達するために不可欠かつ具体的な準備作業を含んでおり、客観的に殺害の危険性を高める「予備」行為に該当する。また、本件においては、被告人が自発的に計画を断念した形跡はなく、被害者の不出現という外部的障害によって実行に至らなかったに過ぎない。犯行の内容は巧妙かつ計画的であり、犯行の隠蔽を図るなど反省の情も認められないことから、真摯な中止の意思による予備行為の中止とはいえない。
結論
被告人に殺人予備罪が成立し、刑法201条但書の適用は認められない。原判決に憲法違反や判例違反等の重大な誤りはなく、上告を棄却する。
事件番号: 平成15(あ)504 / 裁判年月日: 平成18年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が深夜、警察官の制止を振り切って走行を続け、追跡を逃れる目的で自動車を加速させ、進行方向にいた警察官の夫人に衝突させて重傷を負わせた行為について、殺人未遂罪の成立を認めた第一審判決を維持した事例(最決平成22年10月11日)。 第1 事案の概要:被告人は警察官の制止を逃れるため、執拗な追跡を…
実務上の射程
判決文の文字化けにより細部が不明瞭な箇所があるが、主として犯行準備の具体性と中止の任意性が争点となっている。
事件番号: 昭和23(れ)1680 / 裁判年月日: 昭和24年2月24日 / 結論: 棄却
被告人は巡査部長を射撃して、同人が被告人を追つかけることのできないようにしようと思つて、ことによつたら同人を射殺す結果になるかも知れないが、それもやむを得ないと考へ、ピストルを同人に向け發射し、同人が死んでしまつたのであるから、被告人が殺人罪に問われるのは當然である。
事件番号: 昭和56(あ)1552 / 裁判年月日: 平成元年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保険金殺人を目的とした執拗かつ悪質非道な一連の犯行において、主謀者の一人として犯行を推進した被告人に対し、死刑を適用することは不当ではない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者Aらと共謀し、巨額の保険金を騙し取る目的で複数の役員を標的とした。第一の計画では、代表役員を溺死させるべく3回にわたり殺人…
事件番号: 昭和63(あ)589 / 裁判年月日: 平成8年9月20日 / 結論: 破棄自判
保険金を騙取する目的で、暴力団幹部と共謀して殺人予備、殺人未遂、殺人等の罪を犯すなどしたという本件事案の性質や罪質の重大性、一連の犯行は、被告人が発案し暴力団幹部に計画を持ち掛けたのを契機として企図され、実行に移されたもので、被告人は、各被害者に保険を掛けるなどしたほか、直接殺人予備行為をし、保険金を騙取したり保険会社…