死刑の量刑が維持された事例(福岡会社社長殺害事件)
判旨
死刑の量刑を維持した原判決が適法とされた事例(永山基準の踏襲)
問題の所在(論点)
死刑の選択が許容されるための要件(刑法11条、憲法13条・31条・36条との関係)および、殺害された被害者が1名である場合における死刑適用の可否。
規範
死刑の適用は、罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。その判断に際しては、犯罪の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、刑事責任が極めて重く、永山基準に照らして死刑がやむを得ないと認められる場合には、これを選択することができる。
重要事実
被告人は、暴力団関係者らと共謀し、営利誘拐を計画。被害者(当時20歳)を連れ出した上で、身代金1,500万円を要求した。その後、発覚を恐れて被害者の生命を奪うことを決意し、首を絞めて窒息死させた。犯行態様は計画的かつ冷酷であり、主導的な役割を果たした。結果として1名の尊い命が失われた。被告人には過去に道路交通法違反等による懲役刑の前科があるが、重大な暴力犯罪の前科はなかった。遺族は厳重な処罰を求めている。
あてはめ
本件は身代金目的の誘拐・殺人という極めて悪質な犯罪である。動機に酌量の余地はなく、犯行態様も強固な殺意に基づく執拗なものであり、結果は重大である。被害者は1名であるが、犯行の計画性や利欲的な動機、社会的影響の大きさを考慮すれば、その刑事責任は極めて重い。前科が比較的軽微であることや犯行後の情状を考慮しても、罪罰の均衡及び一般予防の観点から、死刑を選択した第一審判決を維持した原判断は是認せざるを得ない。
結論
事件番号: 平成19(あ)337 / 裁判年月日: 平成22年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗致死の罪責を負う被告人に対し、死刑の適用が真にやむを得ないと認められるか。いわゆる永山基準(最判昭58.7.8)に基づき、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の処罰感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情勢を総合考慮して判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀の上…
被告人を死刑に処した原判決は相当であり、憲法および刑訴法に違反しない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
被害者が1名であっても、犯行の性質、態様、動機等が極めて悪質である場合には、他の情状を総合考慮した上で死刑の選択が正当化されることを示した。
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
事件番号: 平成15(あ)600 / 裁判年月日: 平成18年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪に問われた被告人に対し、犯行の残虐性、結果の重大性、および動機の身勝手さを重視し、死刑に処した一審判決を維持した原判決は、量刑の衡平を欠くものではなく相当である。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者2名と共謀のうえ、金品強取の目的で、何ら落ち度のない女性2名を絞殺した。犯行は計画的か…
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…
事件番号: 平成23(あ)844 / 裁判年月日: 平成24年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】殺害された被害者が1名である強盗殺人等の事案において、死刑の選択がやむを得ないといえるほど他の量刑要素が悪質であるとは断じ難いとして、第1審の死刑判決を破棄し無期懲役とした原判決の量刑判断を維持した事例(いわゆる闇サイト殺人事件)。 第1 事案の概要:被告人は共犯者2名とネット掲示板で知り合い、金…