死刑の量刑が維持された事例(オウム真理教地下鉄サリン殺人等事件)
判旨
極めて残酷かつ非人道的な無差別大量殺人行為の刑事責任について、死刑の選択がやむを得ないとされた事例(地下鉄サリン事件等)
問題の所在(論点)
極めて残虐かつ非人道的な無差別大量殺人等の重大な罪責を負う被告人に対し、死刑を選択することが量刑判断として不当か(刑法11条、刑事訴訟法411条2号等の適用範囲)。
規範
死刑の適用については、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ないといえる場合に、初めて許容される。
重要事実
被告人は、教団代表者らと共謀し、教団に対する強制捜査の目的を阻害するために、都心の中枢を狙って猛毒のサリンを散布し、一般市民12名を殺害し、多数の者に重軽傷を負わせた(地下鉄サリン事件)。また、これに先立ちサリンの製造を試み、その過程で致死性の高いサリンを製造・保有していた。さらに、他の事件においても殺人等の重大な犯罪に関与していた。
あてはめ
地下鉄サリン事件は、多数の一般市民を無差別に殺傷し、社会に極大の不安を与えたものであり、その態様は極めて非人道的かつ残虐といえる。結果の重大性について、12名の尊い命を奪った事実はあまりにも重い。犯行の動機も教団の目的を達成するための身勝手なものであり、酌量の余地はない。被告人の関与の程度や実行行為の内容を考慮しても、その刑事責任は極めて重く、他の事情を勘案しても死刑を回避すべき決定的な理由を見出すことはできない。
結論
事件番号: 平成15(あ)1404 / 裁判年月日: 平成19年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文の文字化けにより正確な判旨の特定が困難であるが、文脈上、オウム真理教事件(地下鉄サリン事件等)に関し、組織的かつ計画的な大量殺人等の極めて凶悪な事案において、被告人の役割や動機を考慮しても死刑判決が正当化されることを示したものである。 第1 事案の概要:被告人は教団組織の幹部として、教祖らの…
被告人の罪責は極めて重大であり、一審・控訴審の死刑判決を維持することは正当である。死刑の選択はやむを得ない。
実務上の射程
組織的・計画的な無差別大量殺人事件において、殺害された人数が多数に及ぶ場合、死刑回避の事情が乏しければ、死刑選択の合理性が認められやすい。
事件番号: 平成16(あ)1394 / 裁判年月日: 平成21年12月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】極めて重大かつ非人道的な組織的犯罪において、被告人が犯行計画の具体的な指示説明を行うなど不可欠な役割を果たした場合には、真摯な反省等の情状を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。地下鉄サリン事件等の重大性、組織的・計画的な犯行態様、及び被告人の中心的役割を重視した判断である。 第1 事案の概要:オ…
事件番号: 平成16(あ)310 / 裁判年月日: 平成20年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて残虐かつ非人道的な無差別大量殺人事件において、実行行為の中核を担った者の刑事責任は、教団幹部の指示があった等の事情を考慮しても死刑の選択がやむを得ないほど重大である。 第1 事案の概要:オウム真理教幹部である被告人は、他の幹部らと共謀し、地下鉄…
事件番号: 平成19(あ)1480 / 裁判年月日: 平成23年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】教団幹部として、松本・地下鉄両サリン事件を含む複数の組織的な無差別殺人等の重要な役割を果たした被告人に対し、死刑を適用した一審・二審の判断を是認した事例。 第1 事案の概要:オウム真理教幹部である被告人は、(1)弁護士に対するサリン滴下(傷害)、(2)松本サリン事件(殺人・同未遂)、(3)VX使用…
事件番号: 平成18(あ)1909 / 裁判年月日: 平成23年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地下鉄サリン事件(東京地下鉄サリン散布事件)における殺人罪及び殺人未遂罪等の成否、並びに極刑(死刑)適用の正当性。 第1 事案の概要:被告人は、教団の組織的・計画的な犯行として、白昼の通勤時間帯に、不特定多数の乗客・職員が利用する東京都内の地下鉄車両内において、極めて毒性の強い化学兵器であるサリン…