死刑の量刑が維持された事例(パチンコ店員強殺事件)
判旨
死刑の量刑を判断するに際しては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、被害者の遺族の感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の各事情を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑もやむを得ないと認められる場合には死刑を選択することができる。
問題の所在(論点)
強盗殺人罪等の量刑において、若年かつ前科がなく、共犯者から誘われたという事情がある場合でも、死刑を選択することが許されるか。
規範
死刑の選択については、永山事件判決(最判昭58.7.8)の規範を前提とし、(1)犯行の罪質、(2)動機、(3)犯行態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、(4)結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、(5)遺族の被害感情、(6)社会的影響、(7)犯人の年齢、(8)前科、(9)犯行後の情状(謝罪、賠償等)を総合的に考慮し、刑事責任が極めて重大であって、罪刑均衡の観点からも一般予防の観点からも、やむを得ない場合に限り許される。
重要事実
被告人は、パチンコ店への侵入・窃盗を企て、共犯者と共謀の上、わずか1か月の間に2名の従業員を殺害し、店のかぎ等を強取した。殺害方法はロープで首を絞め続ける残虐なものであり、死体を河川に投棄した。被告人は25歳で前科はなく、共犯者に誘われて加担した側面はあるが、第2の事件では襲撃場所を自ら提案し、実行行為を積極的に分担し、利益を折半するなど主体的役割を果たした。
あてはめ
本件は強盗殺人2件という極めて重大な罪質であり、犯行経緯や動機に酌むべき点はない。殺害態様も残虐であり、2名の生命を奪った結果は甚だ重大である。被告人は共犯者に誘われたものの、準備段階で重要な役割を果たし、実行行為を主体的に遂行した。25歳、前科なし、反省、一部賠償等の有利な事情を考慮しても、責任の重大性に鑑みれば、死刑はやむを得ない。
事件番号: 平成13(あ)963 / 裁判年月日: 平成16年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様、特に殺意の強固さや結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合考慮し、刑事責任が極めて重大であって、罪刑均衡や一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。本件では、被告人が計画の中核を担い、信頼関係を悪用して2名を惨殺した強盗殺人の態様を重くみて、死刑…
結論
被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判決は相当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
死刑の選択が争点となる事案において、被害者が2名の場合に、年齢や前科の有無、共犯関係における主従関係をどう評価すべきかの指針となる。本判決は、主従関係があっても主体的な役割を果たしていれば極刑を回避する理由にはなりにくいことを示している。
事件番号: 昭和46(あ)88 / 裁判年月日: 昭和48年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、特に殺傷の手段方法の残虐性、結果の重大性、社会的影響、被告人の経歴、犯行後の情状等の諸般の事情を慎重に考慮し、その責任が極めて重いと認められる場合には、やむを得ないものとして許容される。 第1 事案の概要:被告人は遊興費を入手する目的で、2回にわたり周…
事件番号: 平成28(あ)1889 / 裁判年月日: 令和元年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭目的で強盗殺人と強盗殺人未遂を繰り返した事案において、周到な準備に基づく強固な殺意、結果の重大性、被害者遺族の峻烈な処罰感情に鑑みれば、若年であったこと等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀の上、(1)強盗目的でA方に侵入し、妻Bを絞殺後に帰宅…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…