恐喝未遂罪の成否に関する原判決の事実認定の是非等について補足意見,反対意見が付された事例
刑法250条,刑法249条1項,刑訴法411条3号
判旨
被告人の供述が重要部分で客観的事実(通話記録や金融機関の照会結果)と矛盾し、その不自然さや不合理さが認められる場合、当該供述の信用性は否定されるべきであり、これを有罪判決の基礎とすることはできない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、唯一の直接証拠に近い被告人の公判供述が、通話記録等の客観的証拠と矛盾する場合、当該供述に「罪を認めるに足りる信用性」を認めることができるか。
規範
被告人供述の信用性を判断するにあたっては、供述内容の客観的事実(通話記録、システム上の取引履歴等)との整合性、供述の具体性・一貫性、および経験則に照らした合理性を総合的に勘案する。特に、犯行の核心的部分に関する弁解が客観的な記録と矛盾し、かつその矛盾について納得のいく説明がなされない場合には、供述全体の信用性が著しく減殺される。
重要事実
被告人は共犯者(AおよびB)との共謀を否定し、当日の電話連絡についても正当な理由(アルバイト等)によるものと主張していた。しかし、客観的な通話記録によれば、被告人とAとの間には10回以上にわたる頻繁な通話が確認され、その一部は銀行のテレフォンバンキングサービスへのアクセス時間と近接していた。また、被告人の主張する「アルバイト先にいた」等のアリバイについても、当時の移動経路や時間的制約から見て不自然であり、かつ共犯者への資金提供に関する供述も客観的事実に照らして疑義があった。
あてはめ
まず、被告人の供述は通話記録と明らかに矛盾している。1日に10回を超える通話は、単なる日常連絡の域を超えており、犯行の連絡と推認するのが合理的である。次に、テレフォンバンキングの利用と連動した動きは、被告人が犯行状況をリアルタイムで把握していたことを強く推認させる。これに対し、被告人の弁解(「どこに電話したか覚えていない」「間違い電話だった」等)は、客観的記録を前にして極めて不自然であり、経験則上、信用できないといえる。したがって、被告人の供述は重要部分において虚偽が含まれており、信用性は根本的に崩壊していると解される。
結論
被告人の供述には信用性が認められず、これを前提とした無罪(または一部無罪)の主張は採用できない。客観的証拠により、被告人の共謀および実行行為の関与が認められる。
実務上の射程
供述証拠の信用性を争う実務において、客観的なデジタル証拠(通話履歴・ログ)による弾劾の重要性を示した事例。本件のように供述が論理的に破綻している場合、補強証拠の有無を問わず、供述の信用性欠如を理由に事実認定を覆し得ると解される。
事件番号: 昭和49(あ)1587 / 裁判年月日: 昭和50年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法領得の意思の定義に関し、一時的使用であっても物の経済的用法に従いその効用を享受する意思がある場合には、同意思が認められるとした従前の判例を維持したものである。 第1 事案の概要:本件の具体的な事実関係は、提示された判決文本文からは不明であるが、弁護人が大正12年の大審院判決(一時的使用について…