人身保護法による釈放の請求を却下又は棄却した高等裁判所の決定は,許可抗告の対象とはならない。
人身保護法による釈放の請求を却下又は棄却した高等裁判所の決定は,許可抗告の対象となるか
民訴法337条1項,人身保護法7条,人身保護法11条,人身保護規則21条
判旨
人身保護法による釈放請求を棄却または却下した地方裁判所の決定に対し、民事訴訟法に基づく特別抗告や許可抗告を行うことはできず、不服申立ての対象とはならない。
問題の所在(論点)
人身保護法による釈放の請求を却下又は棄却した地方裁判所の決定に対し、民事訴訟法上の許可抗告等の不服申立てをすることが認められるか。
規範
人身保護法及び同規則において、釈放請求を却下・棄却した決定に対する不服申立ての特段の規定は置かれていない。したがって、当該決定は民事訴訟法337条1項ただし書の趣旨に照らし、許可抗告の対象とはならない。
重要事実
抗告人は人身保護法に基づき釈放の請求を行ったが、原審(地方裁判所)はその請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人は最高裁判所に対して不服を申し立て、許可抗告を求めた。
あてはめ
事件番号: 昭和47(ク)116 / 裁判年月日: 昭和47年6月22日 / 結論: 却下
人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときにかぎり、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。
人身保護法体系においては、手続の迅速性と一回的解決が重視されており、不服申立てに関する規定が意図的に排除されている。本件の地裁決定についても、法及び規則に特段の規定がない以上、民訴法を準用して不服を申し立てる余地はないと解される。したがって、本件抗告は適法な不服申立ての要件を欠いている。
結論
本件抗告は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
人身保護手続における地裁の終局決定に対する不服申立ての可否を否定した重要な先例である。答案上は、特別の救済手続における不服申立ての制限や、人身保護法の合憲性を論ずる際の前提事実として活用できる。
事件番号: 昭和24(ク)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることが許された場合に限り認められ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、長崎地方裁判所が人身保護請求事件について下した決定に対し、不服を申し立てる趣旨の書面(上告状と題する書面)を最高裁判所に提出した。裁…
事件番号: 昭和25(ク)24 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定が憲法に違反することを理由とする場合に限り許される。実質的に手続法規の違反を主張するに留まる場合は、違憲の主張とは認められず、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は、原決定の手続上の瑕疵を理…
事件番号: 昭和25(ク)124 / 裁判年月日: 昭和25年12月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法上の救済請求に関する最高裁判所への抗告は、人身保護規則46条により民事訴訟の例に従う。最高裁への抗告は憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる原決定の事実誤認や手続違憲以外の法令違反を主張するものは不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、人身保護法に基づき勾留の解除を…
事件番号: 昭和28(ク)119 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告が適法となるのは、憲法違反または憲法解釈の誤りを不服理由とする場合に限られる。人身保護法に基づく事件であっても、単なる手続上の不備や事実関係の是正を求める抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、松江刑務所における拘束の是正を求めて人身保護法に基づく請求を…