人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときにかぎり、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。
人身保護法と最高裁判所への抗告理由
人身保護法11条,人身保護法21条,人身保護規則41条,人身保護規則46条,民訴法419条ノ2
判旨
人身保護法に基づく釈放請求を棄却した決定に対する最高裁判所への抗告は、憲法違反を理由とする場合に限定される。
問題の所在(論点)
人身保護法に基づく請求を棄却した決定に対し、どのような場合に最高裁判所への抗告が認められるか。
規範
人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てるには、憲法違反を理由とすることを要する。
重要事実
抗告人は、人身保護法に基づき釈放を求めたが、原裁判所によって当該請求を棄却する決定がなされた。これに対し抗告人は、原決定が憲法81条(違憲審査権)および32条(裁判を受ける権利)に違反するなどと主張して、最高裁判所に抗告を申し立てた。
あてはめ
抗告人は、原決定が憲法に違反すると主張する。しかし、原決定が請求を棄却したこと自体を憲法81条・32条違反とする主張は、その前提を欠いており不適法である。また、その余の主張も形式的には違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するにとどまる。したがって、適法な抗告理由としての憲法違反の主張がなされているとはいえない。
事件番号: 平成22(許)7 / 裁判年月日: 平成22年8月4日 / 結論: 却下
人身保護法による釈放の請求を却下又は棄却した高等裁判所の決定は,許可抗告の対象とはならない。
結論
本件抗告は適法な抗告理由を欠くため、不適法として却下される。
実務上の射程
人身保護手続における最高裁への不服申立ての門戸は狭く、実質的に単なる法令違反(人身保護法や規則の解釈誤り等)を争う場合は、憲法違反の体裁を整えたとしても受理されない。実務上、特別抗告の要件に準じた厳格な制約があることを示す判例である。
事件番号: 昭和25(ク)24 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定が憲法に違反することを理由とする場合に限り許される。実質的に手続法規の違反を主張するに留まる場合は、違憲の主張とは認められず、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は、原決定の手続上の瑕疵を理…
事件番号: 昭和25(ク)33 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定に憲法違反がある場合に限り許容される。単なる手続法規の違反を主張するにすぎない場合は、違憲の主張とは認められず不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は抗告理由を記載した別紙を提出したが、その内容は原…
事件番号: 昭和28(ク)119 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告が適法となるのは、憲法違反または憲法解釈の誤りを不服理由とする場合に限られる。人身保護法に基づく事件であっても、単なる手続上の不備や事実関係の是正を求める抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、松江刑務所における拘束の是正を求めて人身保護法に基づく請求を…
事件番号: 昭和29(ク)178 / 裁判年月日: 昭和29年7月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告が適法となるのは、訴訟法が特別に認めた場合に限られ、憲法違反の主張が含まれない実質的な手続法規の解釈争いは却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定が憲法13条、31条、34条、76条3項に違反すると主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は…