判旨
最高裁判所に対する抗告は、原決定が憲法に違反することを理由とする場合に限り許される。実質的に手続法規の違反を主張するに留まる場合は、違憲の主張とは認められず、抗告は不適法として却下される。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告において、実質的に手続法規の違反を主張するにとどまる場合に、憲法違反を理由とする抗告として適法といえるか。
規範
最高裁判所に対する抗告(特別抗告等)の適法要件として、原決定に憲法違反の事由が存在することが必要である。単なる手続法規の違反の主張は、憲法違反の主張には当たらない。
重要事実
抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は、原決定の手続上の瑕疵を理由として抗告の理由を構成し、その末尾において憲法違反の文言を付していたが、実質的には手続法規の違反を指摘する内容であった。
あてはめ
抗告理由の形式的な記載にかかわらず、その実質を検討すべきである。本件の抗告理由は、末尾に別紙を添えてはいるものの、その内容は原決定が手続法規に違反してなされた旨を主張するに止まっている。これは実質において違憲の主張をなすものとは認め難く、適法な抗告理由を構成しないと解される。
結論
本件抗告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
最高裁への不服申立てにおいて、単なる法律違反や手続違背を「憲法違反」と強弁しても、実質的に憲法問題を含まない場合は不適法却下されるという実務上の峻別を示す。司法試験では、特別抗告の要件(民訴法336条1項等)を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和25(ク)33 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定に憲法違反がある場合に限り許容される。単なる手続法規の違反を主張するにすぎない場合は、違憲の主張とは認められず不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は抗告理由を記載した別紙を提出したが、その内容は原…
事件番号: 昭和25(ク)20 / 裁判年月日: 昭和25年6月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法11条1項の決定に対する抗告は、民事訴訟の例に従い、憲法違反を理由とする場合に限り最高裁判所への抗告が認められる。 第1 事案の概要:札幌高等裁判所は、昭和25年2月20日に人身保護法11条に基づき、人身保護の請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人が最高裁判所へ抗告を申し立てた事…
事件番号: 昭和25(ク)124 / 裁判年月日: 昭和25年12月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法上の救済請求に関する最高裁判所への抗告は、人身保護規則46条により民事訴訟の例に従う。最高裁への抗告は憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる原決定の事実誤認や手続違憲以外の法令違反を主張するものは不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、人身保護法に基づき勾留の解除を…
事件番号: 昭和24(ク)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることが許された場合に限り認められ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、長崎地方裁判所が人身保護請求事件について下した決定に対し、不服を申し立てる趣旨の書面(上告状と題する書面)を最高裁判所に提出した。裁…
事件番号: 昭和47(ク)116 / 裁判年月日: 昭和47年6月22日 / 結論: 却下
人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときにかぎり、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。