判旨
人身保護法上の救済請求に関する最高裁判所への抗告は、人身保護規則46条により民事訴訟の例に従う。最高裁への抗告は憲法判断の不当を理由とする場合に限られ、単なる原決定の事実誤認や手続違憲以外の法令違反を主張するものは不適法として却下される。
問題の所在(論点)
人身保護法に基づく決定に対する最高裁判所への抗告において、憲法違反以外の事由を抗告理由とすることができるか。また、その手続における準用規定の成否が問題となる。
規範
人身保護法に基づく救済請求の手続には、同法及び人身保護規則に特段の定めがない限り、その性質に反しない範囲で民事訴訟の規定が準用される(人身保護規則46条)。最高裁判所が抗告裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事訴訟の例によれば、憲法違反又は憲法解釈の誤り(旧民訴法419条の2、現行民訴法336条1項参照)を理由とする場合に限定される。
重要事実
抗告人は、人身保護法に基づき勾留の解除を求めたが、原審(高等裁判所)は、本件勾留が人身保護規則4条にいう「権限なしにされ又は法令の定める方式若しくは手続に著しく違反していることが顕著である場合」に該当しないとして請求を排斥した。これに対し、抗告人は最高裁判所へ抗告を申し立てたが、その内容は原決定の事実認定や手続上の判断を争うものであった。
あてはめ
人身保護規則46条により民事訴訟の例が準用される結果、最高裁判所に対する抗告理由は、原決定に憲法適合性に関する判断の不当がある場合に限られる。本件抗告理由は、勾留が顕著な手続違反に当たらないとした原決定の判断を争うもの、又は人身保護法7条に基づく請求排斥を非難するものにすぎない。これらは憲法判断を争うものではなく、適法な抗告理由に当たらないといえる。
結論
本件抗告は、最高裁判所に対する適法な抗告理由を欠くため、不適法として却下される。
事件番号: 昭和25(ク)24 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定が憲法に違反することを理由とする場合に限り許される。実質的に手続法規の違反を主張するに留まる場合は、違憲の主張とは認められず、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は、原決定の手続上の瑕疵を理…
実務上の射程
人身保護手続における不服申立ての性質を確定した判例である。高裁の決定に対する最高裁への抗告は、特別抗告としての性質を有し、憲法問題に限定されることを明確にしている。答案上は、特別法の手続における民事訴訟法の準用関係、及び最高裁への上訴事由の限定を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和25(ク)20 / 裁判年月日: 昭和25年6月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】人身保護法11条1項の決定に対する抗告は、民事訴訟の例に従い、憲法違反を理由とする場合に限り最高裁判所への抗告が認められる。 第1 事案の概要:札幌高等裁判所は、昭和25年2月20日に人身保護法11条に基づき、人身保護の請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人が最高裁判所へ抗告を申し立てた事…
事件番号: 昭和25(ク)33 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定に憲法違反がある場合に限り許容される。単なる手続法規の違反を主張するにすぎない場合は、違憲の主張とは認められず不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人は抗告理由を記載した別紙を提出したが、その内容は原…
事件番号: 昭和24(ク)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることが許された場合に限り認められ、それに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、長崎地方裁判所が人身保護請求事件について下した決定に対し、不服を申し立てる趣旨の書面(上告状と題する書面)を最高裁判所に提出した。裁…
事件番号: 昭和23(ク)30 / 裁判年月日: 昭和23年10月29日 / 結論: 却下
一 人身保護法による釈放の請求を排斥した決定に対しては、憲法違反を理由とするときに限り、最高裁判所に抗告の申立をすることができる。 二 昭和二三年政令第二〇一号違反の容疑により勾留された者が人身保護法により釈放を請求したのに対し、原決定が人身保護規則第四条に該当しないとの理由でこれを排斥した場合、右政令が憲法違反である…