死刑の量刑が維持された事例(JR下関駅無差別殺傷事件)
判旨
不特定多数の利用客がいる駅構内において、あらかじめ準備した刃物を用い、無差別に多数人を殺傷した行為は、冷酷かつ非道な犯行であり、死刑の適用もやむを得ない。
問題の所在(論点)
無差別殺傷事件における死刑選択の是非。特に、多数の被害者が発生し、犯行態様が極めて凄惨な場合における死刑適用の判断枠組み。
規範
死刑の適用にあたっては、犯行の性質、動機、態様、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考慮し、罪責が極めて重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極めてやむを得ないといえる場合に、死刑の選択が許容される。
重要事実
被告人は、秋葉原の歩行者天国にトラックで突入して通行人をはね、さらに、あらかじめ準備していた刃物を用いて、通行人や駅利用者等を次々と突き刺したり切りつけたりした。この犯行により、合計7名を殺害し、10名に傷害を負わせるに至った。
あてはめ
本件は、公共の場所である駅周辺において、何ら落ち度のない多数人を無差別に殺傷したものであり、その犯行態様は執拗かつ残虐である。あらかじめ凶器を準備し、確実に殺傷できるよう計画を練っていた点に強い殺意と計画性が認められる。7名という極めて多くの尊い命が奪われた結果は重大であり、遺族の処罰感情も峻烈である。動機に酌むべき点はなく、地域社会に与えた不安や衝撃といった社会的影響も甚大である。
結論
被告人の罪責は誠に重大であり、死刑の選択を是認した一審・二審の判断は維持されるべきである。よって、本件控訴を棄却し、死刑判決を確定させる。
事件番号: 平成24(あ)1647 / 裁判年月日: 平成27年2月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度(執行方法を含む)が憲法13条、31条、36条に違反しないことは当裁判所の判例とするところであり、本件のごとき極めて重大な刑事責任が認められる無差別殺人事件において死刑を選択することは妥当である。 第1 事案の概要:被告人は、インターネット掲示板や職場での嫌がらせに対する怒りから、無差別殺…
実務上の射程
無差別殺傷事件における死刑適用の基準(永山基準)の当てはめモデルとして機能する。特に、被害者数だけでなく、犯行の計画性や公共の場所での犯行という反社会性の強さが重視される実務上の傾向を示している。
事件番号: 平成15(あ)2619 / 裁判年月日: 平成19年4月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度およびその執行方法は憲法31条、36条に違反せず、動機に酌量の余地がない無差別殺傷事件において、2名の殺害という結果の重大性や社会的影響に鑑みれば、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、日本社会への強い不満から無差別に人間を殺害しようと決意し、包丁と玄能を準備。白昼の繁華…
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…
事件番号: 平成16(あ)971 / 裁判年月日: 平成17年4月18日 / 結論: 棄却
国道を走行中の普通乗用自動車内において,助手席に乗車していた被害者に対し,背後からけん銃を突き付け発射した行為(判文参照)は,銃砲刀剣類所持等取締法3条の13,31条のけん銃等発射罪に当たる。
事件番号: 平成29(あ)621 / 裁判年月日: 令和元年12月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無差別殺人であっても、事案により被害結果や動機、計画性の有無、犯行遂行の意思の強固さは様々であり、これらを総合して非難の程度を判断すべきである。2名の生命を奪った残虐な無差別殺人であっても、精神障害の影響や計画性の欠如、自首に近い状況等の諸事情を考慮し、死刑の選択が相当とはいえない場合がある。 第…