国道を走行中の普通乗用自動車内において,助手席に乗車していた被害者に対し,背後からけん銃を突き付け発射した行為(判文参照)は,銃砲刀剣類所持等取締法3条の13,31条のけん銃等発射罪に当たる。
道路を走行中の普通乗用自動車内におけるけん銃発射行為が銃砲刀剣類所持等取締法3条の13,31条のけん銃等発射罪に当たるとされた事例
銃砲刀剣類所持等取締法3条の13,銃砲刀剣類所持等取締法31条
判旨
銃砲刀剣類所持等取締法における「発射」の罪(3条の13)の成否につき、民家が立ち並ぶ国道上の自動車内から被害者の体に向けてけん銃を発射した行為は、不特定または多数の者の用に供される場所(道路上)においてされたものと認められる。
問題の所在(論点)
走行中の自動車内という閉鎖的な空間において、特定の被害者の身体に向けてけん銃を発射した場合であっても、同法3条の13にいう「不特定又は多数の者の用に供される場所」における発射に該当するか。
規範
銃砲刀剣類所持等取締法3条の13が規定するけん銃等発射罪の成否については、発射行為が「不特定又は多数の者の用に供される場所」においてなされたか否かによって判断される。これには、公共の場所そのものだけでなく、当該場所において不特定多数の者の生命・身体等に危険を及ぼす実態がある状況下での発射が含まれる。
重要事実
被告人は、民家等が立ち並ぶ国道上を走行中の普通乗用自動車内において、助手席に乗車していた被害者に対し、背後から回転弾倉式けん銃の銃口を同人の左肩部に突き付け、体内に向けて弾丸1発を発射した。
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…
あてはめ
本件における発射行為は、走行中の自動車内で行われているが、その自動車自体が民家等の立ち並ぶ「国道上」を走行していた。国道は不特定または多数の者の用に供される場所であることが明らかであり、そのような公共の場所における自動車内での発射は、公共の安全を害する危険を内包するものである。したがって、被害者の体内に向けて下向きに発射されたという態様であっても、場所的要件を満たすと評価される。
結論
被告人の行為は、銃砲刀剣類所持等取締法3条の13のけん銃等発射罪に該当する。
実務上の射程
本判決は、自動車内という物理的に区画された空間であっても、その自動車が所在する場所が道路等の公共の場所であれば「場所的要件」を満たすことを示した。答案上では、発射の具体的方向や対象が特定人に限定されていたとしても、場所の公共性から直ちに構成要件該当性を肯定する文脈で使用できる。
事件番号: 平成17(あ)1622 / 裁判年月日: 平成20年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不特定多数の利用客がいる駅構内において、あらかじめ準備した刃物を用い、無差別に多数人を殺傷した行為は、冷酷かつ非道な犯行であり、死刑の適用もやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、秋葉原の歩行者天国にトラックで突入して通行人をはね、さらに、あらかじめ準備していた刃物を用いて、通行人や駅利用者等…
事件番号: 平成15(あ)2396 / 裁判年月日: 平成18年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は、極めて重大な罪責を負うべき者に対して科される究極の刑罰であり、憲法13条、31条、36条に照らしても、公共の福祉の観点から合憲であると解される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人被告事件等の犯行に及び、その残虐な犯行態様や結果の重大性に鑑み、一審および二審において死刑の判決を受けた…
事件番号: 昭和57(あ)648 / 裁判年月日: 昭和59年1月30日 / 結論: 破棄自判
相手方から一方的に暴行を受けた被告人が、帰寮後も憤まん収まらず、いつたんは木刀を手にして相手方と対峙し同人を難詰したものの、同僚の説得に従い、話合いをするため木刀を投げ捨てその場を離れたにもかかわらず、予期に反して相手方がいきなり右木刀を拾い上げ攻撃してきた本件事実関係のもとにおいては(判文参照)、右攻撃は刑法三六条に…
事件番号: 平成18(あ)2156 / 裁判年月日: 平成21年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力団間の抗争に端を発し、一般客のいるレストランで拳銃を用いて2名を殺害した事案において、犯行の計画性、残忍性、一般市民を巻き込む危険性の高さ等の諸事情を考慮し、死刑判決を維持した。 第1 事案の概要:暴力団構成員である被告人は、他団体からの高額な金銭要求に対し、組織の面目を保つため相手方の殺害を…