死刑の量刑が維持された事例(池袋通り魔殺人事件)
判旨
死刑制度およびその執行方法は憲法31条、36条に違反せず、動機に酌量の余地がない無差別殺傷事件において、2名の殺害という結果の重大性や社会的影響に鑑みれば、死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
死刑制度の憲法適合性、および無差別通り魔殺人事件における死刑適用(量刑)の妥当性。
規範
死刑制度およびその執行方法は、憲法31条(適正手続き)および36条(拷問及び残虐な刑罰の禁止)に違反しない(判例)。量刑に当たっては、犯行の罪質、動機、態様(冷酷・非情・残忍性)、結果の重大性(殺害人数等)、遺族の処罰感情、社会的影響、および被告人の属性(前科等)を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大な場合には死刑の選択も許容される。
重要事実
被告人は、日本社会への強い不満から無差別に人間を殺害しようと決意し、包丁と玄能を準備。白昼の繁華街で通行人を次々と襲い、2名を殺害、1名に重傷を負わせ、さらに5名に傷害を負わせた。被告人にはさしたる前科はなかった。
あてはめ
本件犯行は、社会への不満という酌量の余地のない動機に基づき、白昼の繁華街で無差別に通行人を襲ったものであり、罪質は極めて悪質である。殺害態様も冷酷かつ残忍であり、何の落ち度もない2名の命を奪った結果は甚だ重大である。遺族の処罰感情も峻烈であり、社会に与えた衝撃も大きい。前科がない等の被告人に有利な事情を考慮しても、その罪責は誠に重大である。
結論
被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判決は妥当であり、死刑の選択はやむを得ない。
事件番号: 平成16(あ)455 / 裁判年月日: 平成19年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条に違反せず、身勝手な動機により2名の生命を奪った計画的かつ残虐な犯行については、被告人の更生の可能性等の諸事情を考慮しても死刑を維持した原判決は妥当である。 第1 事案の概要:中国人留学生である被告人が、一方的に好意を抱いていた同国人女性に交際を断られたことに絶望し、同女とその…
実務上の射程
死刑制度の合憲性を前提とした上で、永山基準を踏襲しつつ、殺害人数が2名であっても犯行の無差別性や残虐性が顕著な場合には、死刑が正当化されることを示す。答案では量刑の妥当性を論述する際の考慮要素の整理に用いる。
事件番号: 平成24(あ)1647 / 裁判年月日: 平成27年2月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度(執行方法を含む)が憲法13条、31条、36条に違反しないことは当裁判所の判例とするところであり、本件のごとき極めて重大な刑事責任が認められる無差別殺人事件において死刑を選択することは妥当である。 第1 事案の概要:被告人は、インターネット掲示板や職場での嫌がらせに対する怒りから、無差別殺…
事件番号: 平成17(あ)1622 / 裁判年月日: 平成20年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不特定多数の利用客がいる駅構内において、あらかじめ準備した刃物を用い、無差別に多数人を殺傷した行為は、冷酷かつ非道な犯行であり、死刑の適用もやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、秋葉原の歩行者天国にトラックで突入して通行人をはね、さらに、あらかじめ準備していた刃物を用いて、通行人や駅利用者等…
事件番号: 平成21(あ)1640 / 裁判年月日: 平成25年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が検討される事案において、組織的背景に基づく犯行の性質、殺意の強固さ、結果の重大性、地域社会への影響、及び被告人の役割を総合的に考慮すれば、たとえ遺族の一部に宥恕の意思があり、被告人が暴力団を脱退したなどの情状を考慮しても、死刑に処した判断は是認される。 第1 事案の概要:暴力団員である…