少年法3条1項3号イ及びニが過度に広範であり不明確であるとの規定違憲の主張はこれらの規定が所論のように過度に広範であるとも不明確であるともいえないから前提を欠く
憲法13条,憲法31条,少年法3条1項3号
判旨
少年法3条1項3号イの「保護者の正当な監督に服しな い性癖のあること」及び同号ニの「自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること」との規定は、憲法が禁ずる過度に広範で不明確な規定には当たらない。
問題の所在(論点)
少年法3条1項3号イ及びニに規定されるぐ犯事由の文言が、憲法の要求する明確性の原則に反し、過度に広範で不明確な規定として違憲となるか。
規範
法規が憲法上の適正手続に反して不明確であるとして違憲とされるのは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該地が適用されるかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れない場合に限られる。また、少年法の目的(少年の健全な育成と保護処分)に照らし、特定の概念が一定の専門的判断を伴うものであっても、その趣旨が合理的に解釈可能であれば、直ちに不明確とはいえない。
重要事実
少年法3条1項3号イ(ぐ犯少年)の規定である「保護者の正当な監督に服しない性癖があること」及び同号ニの「自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖があること」の文言が、過度に広範かつ不明確であり、憲法に違反するのではないかが争点となった少年保護事件の抗告審である。
あてはめ
少年法が目的とする少年の保護・更生という観点からすれば、「保護者の正当な監督に服しない」「徳性を害する行為をする」といった表現は、少年の社会適応状況や家庭環境を評価するための指標として一定の客観性を持っている。これらの概念は、家庭裁判所の審判実務や児童福祉の知見に照らして合理的な解釈が可能であり、通常の判断能力を有する一般人にとっても、どのような行為が対象となり得るか予測困難なほど不明確であるとはいえない。したがって、過度に広範であるとも、不明確であるとも評価できない。
事件番号: 平成5(し)96 / 裁判年月日: 平成5年11月24日 / 結論: 棄却
家庭裁判所は、抗告裁判所から差戻しを受けた事件が先に少年法一七条一項二号の観護の措置が採られたものであっても、審判を行うため必要があるときは、改めて同号の観護の措置を採ることができる。
結論
少年法3条1項3号イ及びニの規定は、憲法に違反せず合憲である。
実務上の射程
本決定はぐ犯少年の規定の合憲性を明示したものである。司法試験においては、行政法や刑法における明確性の原則(徳島市公安条例事件等)の枠組みを少年法に転用する際の根拠として活用できる。特に「専門的・保護的見地からの文言」の許容限度を検討する際の比較対象となる。
事件番号: 平成9(し)240 / 裁判年月日: 平成10年4月21日 / 結論: 棄却
少年が非行事実の存在を争っている保護事件において、家庭裁判所がその争点について少年法一六条に基づき捜査機関に援助協力を依頼して回答を得ながら、右回答の存在を附添人に了知させなかった措置は、妥当性を欠いたものであるが、右回答は附添人らがその内容を了知していた捜査書類を要約したものなどであって、証拠全体の中で重要な位置を占…
事件番号: 昭和32(し)16 / 裁判年月日: 昭和32年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年院送致決定の審判手続に憲法違反があるとの主張であっても、その実質が単なる法令違反の主張に過ぎない場合には、再抗告の理由として認められない。 第1 事案の概要:家庭裁判所が少年に向けて少年院送致の決定を行い、これに対し抗告がなされた。抗告裁判所が原決定を是認したため、さらに最高裁判所に対して憲法…
事件番号: 昭和32(す)223 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
論旨の主張する、原決定(少年を中等少年院に送致する旨の保護処分決定)の結果として、事実上、本件少年が所論主張の高等学校教育を受ける機会を失うというようなことは、教育基本法三条一項所定の事由によつて差別的待遇を受けることに該当するものではない。
事件番号: 平成24(し)181 / 裁判年月日: 平成24年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審の付添人ではなく、かつ抗告申立て時までに付添人選任届が提出されていない弁護士による抗告申立ては不適法であり、期間経過後に選任届が提出されても追認の効力は認められない。 第1 事案の概要:中等少年院送致決定に対し、弁護士が平成24年4月9日に再抗告を申し立てた。しかし、当該弁護士は原審における付…