家庭裁判所は、抗告裁判所から差戻しを受けた事件が先に少年法一七条一項二号の観護の措置が採られたものであっても、審判を行うため必要があるときは、改めて同号の観護の措置を採ることができる。
家庭裁判所が先に少年法一七条一項二号の観護の措置が採られていた事件の差戻しを受けた場合に改めて同号の観護の措置を採ることの可否
少年法17条,少年法33条2項,少年審判規則52条1項
判旨
抗告裁判所から差戻しを受けた少年事件において、家庭裁判所は審判を行うため必要があるときは改めて少年法17条1項2号の観護の措置を採ることができ、その収容期間は従前の収容期間の残りに限られない。
問題の所在(論点)
抗告裁判所から差戻しを受けた少年事件において、家庭裁判所は改めて少年法17条1項2号の観護の措置を採ることができるか。また、その際の収容期間は、差戻し前の収容期間の残存期間に限定されるか。
規範
少年法17条1項に定める観護の措置は、審判を行うためのものである。したがって、抗告裁判所から差戻しを受けた事件において、審判を行うために必要があるときは、同項に基づく観護の措置を改めて採ることが可能であり、その場合の収容期間は、先に採られた観護の措置の残り期間に制約されるものではない。
重要事実
少年事件において、一度は少年法17条1項2号に基づく観護の措置(少年鑑別所への収容)が採られたが、その後、抗告裁判所から事件が家庭裁判所に差し戻された。差し戻しを受けた家庭裁判所は、審判を行うために改めて観護の措置を決定したが、この再度の措置による収容期間が、当初の観護の措置における残存期間を超えて設定されたことが問題となった。
事件番号: 平成24(し)181 / 裁判年月日: 平成24年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審の付添人ではなく、かつ抗告申立て時までに付添人選任届が提出されていない弁護士による抗告申立ては不適法であり、期間経過後に選任届が提出されても追認の効力は認められない。 第1 事案の概要:中等少年院送致決定に対し、弁護士が平成24年4月9日に再抗告を申し立てた。しかし、当該弁護士は原審における付…
あてはめ
観護の措置(少年法17条1項)の法的性質は「審判を行うため」の付随的手続である。本件のように抗告裁判所から差戻しを受けた場合、家庭裁判所には「更に審判をしなければならない」義務が生じる。この新たな審判の必要性に鑑みれば、審判の円滑な実施や適正な調査を確保するために再度の観護措置を認めるべきといえる。したがって、再度の措置における期間も、当初の措置の残存期間に拘束されることなく、法が認める期間の範囲内で独立に決定できると解するのが合理的である。
結論
差戻し後の家庭裁判所は、審判の必要があれば改めて観護の措置を採ることができ、その収容期間は従前の残期間に制限されない。
実務上の射程
少年法上の観護措置の期間計算に関する重要判例である。少年保護手続が「審判」を目的とする構造であることを論拠に、手続がやり直し(差戻し)になった場合には収容期間もリセットされることを示している。答案上は、身体拘束の期間制限と適正手続の観点から問題となる場面で、少年法の目的論的解釈として本規範を引用する。
事件番号: 平成20(し)348 / 裁判年月日: 平成20年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法3条1項3号イの「保護者の正当な監督に服しな い性癖のあること」及び同号ニの「自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること」との規定は、憲法が禁ずる過度に広範で不明確な規定には当たらない。 第1 事案の概要:少年法3条1項3号イ(ぐ犯少年)の規定である「保護者の正当な監督に服しない性癖…
事件番号: 昭和32(す)223 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
論旨の主張する、原決定(少年を中等少年院に送致する旨の保護処分決定)の結果として、事実上、本件少年が所論主張の高等学校教育を受ける機会を失うというようなことは、教育基本法三条一項所定の事由によつて差別的待遇を受けることに該当するものではない。
事件番号: 昭和26(し)78 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の再抗告は、同条に規定された憲法違反または憲法解釈の誤り等の事由を理由とする場合に限り許容され、単なる事実誤認や処分の不当を主張するものは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は窃盗等の非行事実により中等少年院送致の保護処分を受けた。これに対し申立人は、(1)家からの持ち出し窃盗…
事件番号: 平成9(し)162 / 裁判年月日: 平成9年10月6日 / 結論: 棄却
少年の保護処分に対する抗告を受理した裁判所は、抗告提起期間内であっても抗告について裁判をすることができる。