判旨
少年法35条1項の再抗告は、同条に規定された憲法違反または憲法解釈の誤り等の事由を理由とする場合に限り許容され、単なる事実誤認や処分の不当を主張するものは不適法である。
問題の所在(論点)
少年法35条1項に規定される再抗告事由に該当しない、事実誤認や処分の不当のみを主張する再抗告の適法性。
規範
少年法35条1項に基づく再抗告は、抗告裁判所の決定に憲法違反があること、または憲法解釈に誤りがあることを理由とする場合に限定される(同条1項、少年審判規則53条参照)。単なる事実認定の誤り、保護処分の不当性、または手続上の違法(憲法違反に至らないもの)を主張するものは、再抗告の適法な理由とはならない。
重要事実
申立人は窃盗等の非行事実により中等少年院送致の保護処分を受けた。これに対し申立人は、(1)家からの持ち出し窃盗の事実はなく一部の弁償も自ら行った、(2)覚醒剤の使用回数が少ない、(3)窃取したパチンコ玉が少額である、(4)別件の窃盗は弁償済みである、(5)鑑別所収容の不当性、(6)無実の容疑による収容後に少年院送致された不当性、(7)父親の引取条件による人権蹂躙等を主張して、抗告棄却決定に対し再抗告を申し立てた。
あてはめ
申立人が主張する内容は、窃盗事実の有無や被害弁償の主体、薬物の使用頻度、物品の時価といった具体的な事実認定に関する不服((1)〜(4))、または保護処分の選択や鑑別所収容プロセスの不当性に関する主張((5)〜(7))にすぎない。これらはいずれも、抗告裁判所の決定に憲法違反があることや、憲法解釈の誤りがあることを具体的に指摘するものではなく、少年法35条1項が定める限定的な再抗告事由に該当しないことは明白である。
結論
本件再抗告は、少年法35条1項に定める事由を理由としておらず、不適法であるため棄却される。
事件番号: 昭和28(し)82 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく再抗告は、同項に規定された事由がある場合に限り許容される。憲法違反を主張していても、実質的に原決定の不当(訴訟法違反)をいうにすぎない場合は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人Aは、家庭裁判所の決定に対する抗告審の判断を不服として再抗告を申し立てた。…
実務上の射程
少年事件における特別抗告(再抗告)の不服申立事由は、刑事訴訟法上の上告事由(405条)に準じて憲法違反等に極めて限定されている。実務上、非行事実の存否や要保護性の評価といった事実関係を争う場合は、第一審決定に対する抗告(少年法32条)段階で尽くす必要があり、最高裁への再抗告においてこれらを主張しても受理されないことを示す典型例である。
事件番号: 昭和56(し)37 / 裁判年月日: 昭和56年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年を保護観察(短期)に付した保護処分が不当に重いという主張は、少年法35条1項に規定される抗告理由(憲法違反、憲法解釈の誤り、重大な事実誤認、法令の違反)には当たらない。 第1 事案の概要:少年に対し保護観察(短期)に付する旨の保護処分がなされた。これに対し、抗告人は憲法違反を名目として抗告を申…
事件番号: 昭和43(し)5 / 裁判年月日: 昭和43年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条に基づく再抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものや、事案の異なる判例の引用による判例違反の主張は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、少年審判の決定に対し再抗告がなされた事案である。再抗告人は、第一点として憲法違反を主張し、第二点として判例違反を主張…
事件番号: 昭和54(し)68 / 裁判年月日: 昭和54年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の再抗告理由において、事実誤認、単なる法令違反、および処分不当の主張は、いずれも適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、少年法に基づく決定に対して最高裁判所へ抗告(再抗告)を申し立てた。その際、申立ての理由として、原決定における事実の誤認、単なる法令違反、および…
事件番号: 昭和28(し)14 / 裁判年月日: 昭和28年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に規定する再抗告事由に関し、実質的な法令違反を憲法違反と主張する再抗告は不適法であり、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:附添人弁護士が、家庭裁判所の決定を支持した抗告裁判所の決定に対し、憲法違反を主張して最高裁判所へ再抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):…