判旨
少年法35条1項に規定する再抗告事由に関し、実質的な法令違反を憲法違反と主張する再抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
抗告棄却決定に対する再抗告において、実質的に法令違反を主張するにとどまる場合に、少年法35条1項の再抗告事由を充足するか。
規範
少年審判の抗告棄却決定に対する再抗告は、少年法35条1項に規定する事由(憲法違反または憲法解釈の誤り)がある場合に限り認められる。単なる法令違反を憲法違反と主張するのみでは、適法な再抗告事由とはいえない。
重要事実
附添人弁護士が、家庭裁判所の決定を支持した抗告裁判所の決定に対し、憲法違反を主張して最高裁判所へ再抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件再抗告の趣旨は、形式的には原決定に憲法違反があることを主張している。しかし、その主張の具体的な内容を実質的に検討すると、単なる法令違反の主張に帰するものである。したがって、少年法35条1項が定める限定的な再抗告事由を備えているとは評価できない。
結論
本件再抗告には理由がないため、少年審判規則53条により棄却を免れない。
実務上の射程
少年事件の再抗告審において、憲法違反の主張が単なる法令違反のすり替えでないかを峻別する実務上の判断基準を示している。司法試験においては、不服申立事由の限定性の文脈で引用され得る。
事件番号: 昭和28(し)82 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく再抗告は、同項に規定された事由がある場合に限り許容される。憲法違反を主張していても、実質的に原決定の不当(訴訟法違反)をいうにすぎない場合は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人Aは、家庭裁判所の決定に対する抗告審の判断を不服として再抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和26(し)58 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、訴訟法において特に認められた場合に限り抗告の裁判権を有し、高等裁判所の再審請求棄却決定に対して憲法違反を主張しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、福岡高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対し、旧刑事訴訟法510条に基づいて最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、当該抗…
事件番号: 昭和59(し)131 / 裁判年月日: 昭和60年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく抗告理由において、憲法違反を主張していても、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎない場合には、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人(少年側)は、原決定に対し、憲法32条、14条、31条、13条に違反する旨を主張して抗告を申し立てた。しかし、その…
事件番号: 昭和54(し)68 / 裁判年月日: 昭和54年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の再抗告理由において、事実誤認、単なる法令違反、および処分不当の主張は、いずれも適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、少年法に基づく決定に対して最高裁判所へ抗告(再抗告)を申し立てた。その際、申立ての理由として、原決定における事実の誤認、単なる法令違反、および…
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…