判旨
最高裁判所は、訴訟法において特に認められた場合に限り抗告の裁判権を有し、高等裁判所の再審請求棄却決定に対して憲法違反を主張しない抗告は不適法である。
問題の所在(論点)
高等裁判所が行った再審請求棄却決定に対し、憲法違反を理由とせずに最高裁判所へ抗告を申し立てることが、最高裁判所の裁判権の範囲内として適法か。刑事訴訟法応急措置法18条の規定の適用範囲が問題となる。
規範
裁判所法7条に基づき、最高裁判所は、刑事訴訟法応急措置法18条等の訴訟法において特に最高裁判所に対してなし得ると定められた抗告についてのみ、裁判権を有する。具体的には、原決定に憲法違反があることを主張する場合に限り、最高裁判所への抗告が適法となる。
重要事実
申立人は、福岡高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対し、旧刑事訴訟法510条に基づいて最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、当該抗告申立の書面には、原決定が憲法に違反する旨の主張は一切含まれていなかった。
あてはめ
本件抗告は、旧刑事訴訟法510条に基づくものであるが、抗告申立書によれば、原決定における憲法違反を何ら主張するものではない。最高裁判所が裁判権を持つのは、応急措置法18条が定めるような憲法違反を理由とする特別な抗告に限られるところ、憲法違反の主張を欠く本件抗告は同条所定の要件を満たさない。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却すべきである。
実務上の射程
最高裁判所に対する特別抗告や許可抗告の枠組みにおいて、憲法違反の主張が受理要件として不可欠であることを示す。実務上は、高裁決定に対する不服申立てにおいて、単なる法令違反や事実誤認の主張では最高裁の裁判権が及ばないことを確認する際のリファレンスとなる。
事件番号: 昭和26(し)61 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、裁判所法7条に基づき、訴訟法等において特に最高裁判所に対してなし得ると定められた抗告についてのみ裁判権を有する。旧刑事訴訟法下の再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対し、憲法違反を理由としない不服申立ては、適法な抗告として受理することはできない。 第1 事案の概要:広島高等裁判所が…
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…
事件番号: 昭和25(し)56 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する最高裁判所への抗告の可否について、裁判所法及び刑訴応急措置法に基づき、特別の規定がない限り許されないと判断した。 第1 事案の概要:抗告人Aは、原審がした再審請求棄却決定を違法であるとして、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):再審請求棄却決定に対し…
事件番号: 昭和28(し)14 / 裁判年月日: 昭和28年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に規定する再抗告事由に関し、実質的な法令違反を憲法違反と主張する再抗告は不適法であり、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:附添人弁護士が、家庭裁判所の決定を支持した抗告裁判所の決定に対し、憲法違反を主張して最高裁判所へ再抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):…
事件番号: 昭和22(つ)9 / 裁判年月日: 昭和23年2月17日 / 結論: 棄却
最高裁判所が「上告」と「訴訟法において特に定める抗告」とについて裁判權を有することは裁判所法第七條の明定するところであつて右にいわゆる「訴訟法において特に定める抗告」というのは、刑事々件については刑訴應急措置法第一八條に定める抗告のように、特に最高裁判所に申立てることを許された抗告をいい、たとえ高等裁判所のした決定又は…