判旨
少年院送致決定の審判手続に憲法違反があるとの主張であっても、その実質が単なる法令違反の主張に過ぎない場合には、再抗告の理由として認められない。
問題の所在(論点)
少年院送致を決定した家庭裁判所の審判手続およびそれを是認した抗告裁判所の決定に憲法違反があるとの主張が、再抗告理由として認められるか。
規範
少年法35条に基づく再抗告において、憲法違反を主張する場合であっても、その実質が単なる法令違反を主張するものである場合には、適法な再抗告理由には当たらない。
重要事実
家庭裁判所が少年に向けて少年院送致の決定を行い、これに対し抗告がなされた。抗告裁判所が原決定を是認したため、さらに最高裁判所に対して憲法違反を理由とする特別抗告(再抗告と解される)が申し立てられた事案である。
あてはめ
再抗告人は憲法違反を主張するが、判決文によればその実質は「原決定の単なる法令違反を主張するものに過ぎない」とされる。最高裁判所は、憲法違反という名目であっても、内容が実質的に法令解釈や適用に関する不服に留まるのであれば、憲法違反の主張としては採用できないと評価した。
結論
本件再抗告は棄却される。実質が単なる法令違反の主張である以上、憲法違反を理由とする再抗告は認められない。
実務上の射程
少年事件の再抗告審において、形式的に憲法条項を引用しても、その内容が具体的にどの憲法原理にどう反するかを基礎づけず、単に手続の適法性を争うだけでは門前払いされることを示している。司法試験上は、再抗告理由の適格性に関する判例として位置づけられる。
事件番号: 昭和32(す)223 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
論旨の主張する、原決定(少年を中等少年院に送致する旨の保護処分決定)の結果として、事実上、本件少年が所論主張の高等学校教育を受ける機会を失うというようなことは、教育基本法三条一項所定の事由によつて差別的待遇を受けることに該当するものではない。
事件番号: 昭和43(し)5 / 裁判年月日: 昭和43年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条に基づく再抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものや、事案の異なる判例の引用による判例違反の主張は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、少年審判の決定に対し再抗告がなされた事案である。再抗告人は、第一点として憲法違反を主張し、第二点として判例違反を主張…
事件番号: 昭和42(し)4 / 裁判年月日: 昭和42年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の迅速が欠かれたことは係官の責任問題を生じ得るが、それ自体は裁判を破棄すべき理由にはならない。 第1 事案の概要:少年審判事件の抗告審において、再抗告人は裁判が迅速を欠いたことを理由に、憲法37条1項および11条に違反すると主張して、原裁判の破棄を求めた。 第2 問題の所在(論点):裁判の迅速…
事件番号: 昭和26(し)78 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の再抗告は、同条に規定された憲法違反または憲法解釈の誤り等の事由を理由とする場合に限り許容され、単なる事実誤認や処分の不当を主張するものは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は窃盗等の非行事実により中等少年院送致の保護処分を受けた。これに対し申立人は、(1)家からの持ち出し窃盗…
事件番号: 昭和55(し)111 / 裁判年月日: 昭和55年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の抗告理由において、憲法違反を主張する場合には憲法条項の具体的摘示が必要であり、また単なる法令違反や事実誤認の主張は同条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、少年法35条1項に基づき最高裁判所に対して抗告(再抗告)を提起した事案。抗告人は多岐にわたる違憲の主張を…