多岐にわたる違憲の主張が不適法とされた事例 少年の戻し収容に対する再抗告の事例
少審規55条,少審規53条1項,少審規54条,少審規50条
判旨
少年法35条1項の抗告理由において、憲法違反を主張する場合には憲法条項の具体的摘示が必要であり、また単なる法令違反や事実誤認の主張は同条所定の抗告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
少年法35条1項に規定される「憲法の違反があること」という抗告理由の具備要件、および同条項における不服申立理由の限界が問題となる。
規範
少年法35条1項に基づく再抗告の理由として憲法違反を主張する場合には、憲法のどの条項に違反するかを具体的に摘示しなければならない。また、立法政策に関する事項、原審で主張・判断されていない事項、あるいは実質的に単なる法令違反や事実誤認にすぎない主張は、同項所定の抗告理由には該当しない。
重要事実
抗告人が、少年法35条1項に基づき最高裁判所に対して抗告(再抗告)を提起した事案。抗告人は多岐にわたる違憲の主張を行ったが、その内容は憲法条項の具体的な指摘を欠くものであった。また、立法政策の問題、原審で未主張の事項、さらに実質的には単なる法令違反や事実誤認をいうにすぎない内容が含まれていた。
あてはめ
本件抗告人の主張は、憲法条項の具体的摘示を欠いており、憲法違反の主張としての形式を整えていない。また、立法政策や原審未主張事項の指摘は不適法な上告理由(抗告理由)の範疇に含まれ、かつ、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張に帰するものである以上、同法35条1項が限定的に認める抗告理由のいずれにも該当しないと評価される。
事件番号: 昭和43(し)5 / 裁判年月日: 昭和43年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条に基づく再抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものや、事案の異なる判例の引用による判例違反の主張は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、少年審判の決定に対し再抗告がなされた事案である。再抗告人は、第一点として憲法違反を主張し、第二点として判例違反を主張…
結論
本件抗告は少年法35条1項の抗告理由にあたらず、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の上告理由(405条)と同様、少年法上の再抗告理由も厳格に解釈される。実務上、憲法違反を理由とする場合は、具体的条項の指摘と、具体的かつ実質的な違憲性の疎明が必要であることを示す判例である。
事件番号: 昭和28(し)82 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく再抗告は、同項に規定された事由がある場合に限り許容される。憲法違反を主張していても、実質的に原決定の不当(訴訟法違反)をいうにすぎない場合は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人Aは、家庭裁判所の決定に対する抗告審の判断を不服として再抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和32(し)16 / 裁判年月日: 昭和32年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年院送致決定の審判手続に憲法違反があるとの主張であっても、その実質が単なる法令違反の主張に過ぎない場合には、再抗告の理由として認められない。 第1 事案の概要:家庭裁判所が少年に向けて少年院送致の決定を行い、これに対し抗告がなされた。抗告裁判所が原決定を是認したため、さらに最高裁判所に対して憲法…
事件番号: 昭和26(し)78 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の再抗告は、同条に規定された憲法違反または憲法解釈の誤り等の事由を理由とする場合に限り許容され、単なる事実誤認や処分の不当を主張するものは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は窃盗等の非行事実により中等少年院送致の保護処分を受けた。これに対し申立人は、(1)家からの持ち出し窃盗…
事件番号: 昭和33(し)95 / 裁判年月日: 昭和34年8月3日 / 結論: 棄却
保護処分決定に対する抗告申立書に抗告の理由は追つて申述する旨を記載しただけで、抗告提起期間内に理由書の提出がないときは、右抗告は少年審判規則第四三条第二項に違背し棄却を免れない。