強盗強姦罪の成否に関する原判決の事実認定の是非等について補足意見,反対意見が付された事例
刑法241条前段,刑訴法411条3号
判旨
恐喝罪の成立について、被告人の反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫や財物の交付の事実が認められるか、被害者の供述の信用性を慎重に検討し、合理的疑いを超えた証明が必要である。
問題の所在(論点)
被害者供述の信用性を判断するにあたり、客観的事実や行動の合理性と矛盾する点がある場合、恐喝罪の構成要件(脅迫行為および財物交付の事実)を認めるに足りる「合理的疑いなき証明」があるといえるか。
規範
恐喝罪(刑法249条)が成立するためには、①相手方の畏怖を生じさせるに足りる脅迫を行い、②それにより相手方が畏怖し、③財物を交付したことが必要である。事実認定においては、被害者供述の変遷、客観的状況との整合性、および供述の合理性を総合的に考慮し、合理的疑いを超える証明(刑事訴訟法317条)がなされなければならない。
重要事実
被告人はホテルの一室で、被害者に対し暴力団の名を出して「デリヘル嬢として登録しろ」「登録料として1、2本(10万〜20万円)置いていけ」などと脅迫し、現金2万円を喝取したとして起訴された。被害者の供述によれば、被告人は「さらわれるぞ」「埋められるぞ」等の文言で執拗に脅迫し、被害者は恐怖のあまりバッグから2万円を出し、さらに連絡先をメモに書かされたとされる。一方で、被害者は事件直後に110番通報できたはずの状況(シャワー室や移動中)で通報を行っておらず、供述には不自然な変遷が見られた。
あてはめ
被害者の供述には、脅迫の核心部分(文言や態様)について合理的な説明のない変遷がある。また、被害者はホテル内で一人になる機会や、移動中に他者に助けを求める機会があったにもかかわらず、直ちに通報していない点は不自然である。さらに、被告人が被害者のバッグを自ら探った形跡はなく、2万円の交付についても客観的な裏付けが乏しい。これらの事情を鑑みると、被害者供述には論理的・経験則的な矛盾が含まれており、被告人の弁解を排斥して犯罪の成立を認めるには足りない。
結論
被告人が被害者の反抗を抑圧するような脅迫を行い、財物を喝取したという点について合理的疑いを超える証明がなされたとはいえず、恐喝罪の成立を認めることはできない。
実務上の射程
判決文の文字化け等により詳細は一部不明であるが、事実誤認を理由とする一審判決の破棄または無罪の方向性を示す判断であると解される。
事件番号: 昭和49(あ)2470 / 裁判年月日: 昭和52年8月9日 / 結論: 棄却
甲事実について逮捕・勾留の理由と必要があり、甲事実と乙事実とが社会的事実として一連の密接な関連がある場合(判文参照)、甲事実について逮捕・勾留中の被疑者を、同事実について取調べるとともに、これに付随して乙事実について取調べても、違法とはいえない。