起訴状に検察官の署名(記名)押印が欠けていることを看過して発せられた略式命令に対する非常上告
刑訴法338条4号,刑訴法458条1号,刑訴法463条1項,刑訴規則58条1項,刑訴規則60条の2第2項
判旨
在外日本国民の選挙権行使を認めていない公職選挙法の規定は、憲法15条1項、43条1項等に違反し、国会が正当な理由なく長期にわたりその立法措置を怠ったことは国家賠償法1条1項の適用上違法である。
問題の所在(論点)
在外邦人に国政選挙(特に選挙区選挙)の投票を認めない公職選挙法の規定が、憲法15条1項、43条1項および44条に違反するか。また、投票を可能にする立法措置を怠った国会の不作為が、国家賠償法1条1項の適用上違法となるか。
規範
選挙権は憲法上保障された権利であり、その制限は原則として許されない。例外的に制限が許されるのは、選挙の公正を確保しつつ権利行使を認めることが事実上不可能または著しく困難であると認められる「やむを得ない事由」がある場合に限られる。また、立法不作為による国家賠償請求が認められるためには、憲法の規定が具体的権利を付与し、かつ立法措置が明白に必要であるにもかかわらず、正当な理由なく長期にわたってこれを怠ったと認められる必要がある。
重要事実
公職選挙法はかつて、日本国外に居住する国民(在外邦人)が国政選挙において投票することを認めていなかった。その後、一部改正により比例代表選挙については投票が可能となったが、選挙区選挙については依然として投票が認められない状態が続いていた。
あてはめ
在外邦人の投票には技術的な困難が伴うとしても、インターネットや郵便投票等の手段を検討すれば、権利行使を全面的に禁止しなければならないほどの「やむを得ない事由」があるとは言えない。また、10年以上の長期にわたり、在外邦人が全く投票できない状態や限定的な範囲でしか投票できない状態を放置したことは、憲法の要請に照らし、立法裁量の範囲を逸脱した著しく不合理な不作為であると評価される。
結論
本件規定は憲法に違反し、国会の立法不作為は国家賠償法上の違法を構成するため、原告の損害賠償請求は認められる。
実務上の射程
選挙権という基本的人権の本質に関わる領域において、国会の広範な立法裁量を制限し、国家賠償法上の違法性を肯定した画期的な判例である。答案上では、人権の重要性から導かれる厳格な違憲審査基準と、職務上の義務違反(立法不作為)の要件を論じる際の基準として用いる。
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