速度制限違反を処罰するのは憲法一三条に違反すると主張するが、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため、車両の速度をどのように規制するかは、もつぱら立法政策に委ねられている事項であつて、右規制により、憲法一三条によつて保障された国民の権利を侵害するという問題は生じないから、主張は前提を欠いている。
速度制限違反の罪と憲法一三条違反の有無
憲法13条
判旨
道路交通法による車両の速度規制は、交通の安全と円滑を図るための立法政策に委ねられており、憲法13条が保障する個人の権利を侵害するものではない。
問題の所在(論点)
道路交通法等に基づく車両の速度規制は、憲法13条によって保障される個人の自由ないし権利を侵害し、憲法違反となるか。
規範
道路における危険防止、その他交通の安全と円滑を図るために車両の速度をどのように規制するかは、専ら立法政策に委ねられている事項である。したがって、合理的な目的の下で行われる速度規制は、憲法13条の保障する国民の権利を侵害する問題を生じさせない。
重要事実
被告人は道路交通法違反(速度超過)により起訴されたが、同法による車両の速度規制が憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)に違反するとして、上告を申し立てた。なお、憲法14条違反の主張もなされたが、原審で主張・判断されていない事項であった。
あてはめ
道路交通の安全と円滑という公共の福祉を達成するため、車両の走行速度を一定の範囲に制限することは必要不可欠な行政目的である。この規制態様は、専門的・技術的な判断を伴う立法政策の裁量範囲内にあり、一般的に国民に受忍が期待される合理的な制約といえる。よって、個人の尊重という観点から憲法13条の侵害を主張する余地はない。
結論
道路交通法による速度規制は憲法13条に違反せず、合憲である。
実務上の射程
交通法規や軽微な行政規制が幸福追求権を侵害するか否かが問われる事案において、広範な立法裁量を認める判例として引用できる。速度規制のような一般的・抽象的な規制が、個人の具体的権利を直ちに侵害するものではないことを示す根拠となる。
事件番号: 昭和57(あ)947 / 裁判年月日: 昭和57年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】車両の最高速度の規定は、立法政策の範囲内の問題であって憲法13条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が車両の最高速度制限に関する規定が憲法13条に違反すると主張して上告した事案。 第2 問題の所在(論点):道路交通法等に基づく車両の最高速度制限が、憲法13条の保障する自由を侵害し違憲となるか。…