道交法施工令四四条の三の規定は、アルコール類の摂取自体を禁ずる趣旨ではない(それゆえ憲法一三条違反の主張は前提を欠く)。
道交法施工令44条の3
判旨
道路交通法施行令44条の3の規定はアルコール類の摂取自体を禁ずる趣旨ではなく、酒気帯び運転等の危険を防止する目的であるため、憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
道路交通法施行令44条の3の規定が、アルコール類の摂取という個人の自由を制限するものとして、憲法13条が保障する幸福追求権を侵害し違憲となるか。
規範
特定の行為を制限する法規範が憲法13条の幸福追求権(自己決定権や自由)に違反するか否かは、当該規定の趣旨が不当に個人の尊厳を侵し、単なる私生活上の嗜好を絶対的に禁止するものであるか否かによって判断される。
重要事実
上告人は、道路交通法施行令44条の3の規定(酒気帯び運転の禁止に関連する規定)がアルコール類の摂取自体を禁ずるものであり、個人の自由を侵害し憲法13条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
道路交通法施行令44条の3は、道路交通における安全を確保し、酒気帯び運転等による危険を防止するための付随的規制である。この規定は、アルコール類の摂取という行為そのものを私生活において全面的に禁ずる趣旨ではない。したがって、個人の自由に対する過度な制約を課しているとはいえず、憲法13条が保障する個人の尊厳や幸福追求権を侵害するものとは認められない。
結論
本件規定はアルコール摂取自体を禁ずる趣旨ではなく、憲法13条に違反しない。
実務上の射程
人権の制限が問題となる事案において、法令の趣旨を目的論的に解釈し、制限の範囲が特定の危険防止に限定されていることを指摘して違憲性を否定する際の手法として参考にし得る。
事件番号: 昭和48(あ)492 / 裁判年月日: 昭和48年7月5日 / 結論: 棄却
速度制限違反を処罰するのは憲法一三条に違反すると主張するが、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため、車両の速度をどのように規制するかは、もつぱら立法政策に委ねられている事項であつて、右規制により、憲法一三条によつて保障された国民の権利を侵害するという問題は生じないから、主張は前提を欠いている。