道路交通法一二一条二項の規定違憲(憲法一四条違反)の主張を立法政策の問題として不適法とした事例
憲法14条,刑訴法405条,道交法121条2項
判旨
過失による運転免許証の不携帯を処罰対象とするか否かは立法政策の問題に帰属し、これを処罰する規定は憲法14条に違反しない。
問題の所在(論点)
過失による運転免許証不携帯を処罰する規定が、憲法14条(法の下の平等)に違反するか、あるいは立法政策の範囲を逸脱するものか。
規範
特定の行為について、過失による場合を処罰の対象とするか否かは、公共の福祉に適合する限りにおいて、国の立法政策の問題として立法府の裁量に委ねられる。
重要事実
被告人が運転免許証を不携帯の状態で車両を運転した行為について、過失による免許証不携帯罪(道路交通法違反)が問われた事案。被告人は、過失による免許証不携帯を処罰することは憲法14条の法の下の平等に反するなどと主張して上告した。
あてはめ
道路交通の安全確保および円滑な取締りの観点から、運転者に免許証の携帯を義務付け、その不履行を過失による場合も含めて処罰することは、合理的な目的を有するものといえる。このような処罰の範囲の決定は、本質的に立法政策の問題にとどまるものである。したがって、故意犯のみならず過失犯を処罰の対象とすることが不当な差別を生じさせるとはいえず、憲法14条違反という主張は前提を欠く。
結論
過失による運転免許証不携帯の処罰は憲法14条に違反しない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
行政刑罰における過失罰の導入が立法裁量の範囲内であることを示した。憲法上の平等の議論において、処罰範囲の差異が立法政策の問題として処理される際の典型的な判断枠組みとして参照し得る。答案上は、特定の構成要件の合憲性を争う際の「立法裁量」の論拠として簡潔に引用する。
事件番号: 昭和56(あ)434 / 裁判年月日: 昭和56年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特定の地域における交通事情等の一般的状況を、直ちに個別の刑事被告人の刑罰を加重する理由とすることは許されないが、判決が単に交通事情等に言及したにとどまり、それを加重の根拠としていないのであれば憲法14条違反の問題は生じない。 第1 事案の概要:被告人が交通違反を犯した事案において、原判決が「千葉県…