死刑の量刑が維持された事例(名古屋のスナック店主強盗殺人等事件)
判旨
死刑制度は憲法に違反せず、強固な殺意に基づく残虐な犯行態様、重大な結果、遺族の峻烈な処罰感情、同種前科等の諸事情を考慮すれば、死刑判決は是認される。
問題の所在(論点)
死刑制度の憲法適合性、および本件の強盗殺人等の事案における量刑(無期懲役とした一審判決を破棄し死刑を宣告した原判決の是非)。
規範
死刑の選択については、犯行の罪質、態様、動機、殺害方法の執拗性・残虐性、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって、罪責と刑罰の均衡、一般予防の見地からもやむを得ない場合に認められる(永山基準の枠組みを維持)。また、死刑制度自体は憲法に違反しない。
重要事実
被告人はスナック経営者の女性(当時61歳)を金品強取目的で殺害し、現金約8,000円を強取した。殺害方法は、背後から頸部を腕で締めた後、マイクコードを二重に巻き付けて強く締め付けるという強固な殺意に基づく残虐なものであった。犯行後には指紋の拭き取りや、わいせつ目的を装うための偽装工作を行っている。被告人には、過去にも同様の手法で女性を殺害し金品を窃取したとして懲役15年に処せられた前科があった。
あてはめ
まず、犯行態様は頸部をコードで締め付けるという執拗かつ冷酷なもので、殺意は強固である。結果として1名の尊い生命が失われており、偽装工作等の犯行後の行動も悪質である。遺族の処罰感情は峻烈であり、社会に与えた影響も軽視できない。さらに、同種の手法による殺人前科がある点は重く評価される。被告人が反省の情を示しているという有利な事情を最大限考慮しても、刑事責任は極めて重大であり、死刑の選択を回避すべき決定的な理由はない。
結論
事件番号: 平成8(あ)482 / 裁判年月日: 平成12年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて悪質かつ重大な結果を招いた強盗殺人等の事案において死刑を科すことは、諸般の事情を考慮しても是認される。 第1 事案の概要:被告人は、実兄と共謀の上、一人暮らしの従弟(36歳)をビニールひもで緊縛・絞殺して権利証等を強取し、死体を海浜に遺棄した(…
本件における死刑制度の適用は憲法に違反せず、諸般の事情から被告人を死刑に処した原判決は正当として是認される。
実務上の射程
被害者が1名であっても、犯行態様の残虐性、強固な殺意、および同種の殺人前科がある場合には、死刑の選択が許容されることを示した事例。司法試験においては、量刑の判断要素(特に犯行態様、前科、被害感情)を具体的に摘示し、それらを総合評価して死刑回避の可否を論じる際の参考となる。
事件番号: 平成8(あ)168 / 裁判年月日: 平成12年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、複数の殺人・強盗殺人事件において、動機・態様・結果の重大性等の諸事情を総合考慮し、死刑の適用がやむを得ない場合には、これを是認することができる。 第1 事案の概要:被告人は約6年半の間に、2件の殺人と2件の強盗殺人等を犯した。具体的には、店舗店番の女…
事件番号: 平成11(あ)591 / 裁判年月日: 平成16年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度およびその執行方法は憲法13条、31条、36条に違反しない。死刑の選択にあたっては、罪質、動機、犯行態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であると認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人両名は共犯者…
事件番号: 平成16(あ)932 / 裁判年月日: 平成19年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑適用に際しては、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の処罰感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が誠に重大であって、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀の上、利得目的で2名の男性をそれぞれけん銃で頭部を…
事件番号: 昭和62(あ)562 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に当たらず合憲であり、死刑の適用は、罪質、動機、態様、結果の重大性等の諸情状を併せ考察し、罪刑の均衡および一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、保険金目的で2名を殺害(海中への突き落とし及び鉄棒での殴打…