死刑の量刑が維持された事例(宇都宮宝石店放火強盗殺人事件)
判旨
強盗殺人・現住建造物等放火罪において、利欲目的による計画的かつ冷酷な犯行であり、6名という多数の生命を奪った結果が極めて重大である場合、死刑の選択は免れない。
問題の所在(論点)
強盗殺人、現住建造物等放火等の罪に問われた被告人に対し、死刑を適用することが、諸般の情状に照らして当裁判所においても是認されるか。
規範
死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の見地からも、死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される(永山基準)。
重要事実
被告人は、高級宝飾品店を狙い、従業員らを殺害して商品を強取することを計画。従業員6名の手足を縛り休憩室に押し込めた上で、ガソリンを散布して放火し、店舗を全焼させるとともに従業員全員を焼死させ、約1億4000万円相当の宝飾品を強取した。
あてはめ
まず、動機は利欲目的かつ自己中心的で周到な準備に基づく計画的犯行である。態様についても、逃走不能な状態の被害者らにガソリンを放火して焼き殺すという手段は冷酷かつ残虐極まりない。結果の面では、落ち度のない6名もの生命を奪った事実は極めて重大であり、遺族の処罰感情も峻烈である。これらの犯情を総合すると、被告人の刑事責任は極めて重大であり、被告人のために酌むべき情状を考慮しても、死刑の科刑は免れない。
結論
被告人の刑事責任は極めて重大であり、第一審の死刑判決を維持した原判決は相当である(上告棄却)。
事件番号: 平成16(あ)727 / 裁判年月日: 平成19年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の刑事責任は極めて重大であり、死刑に処した原判決の維持を是認せざるを得ない。 第1 事案の概要:被告人はビル3階にある営業所にガソリンを用意して侵入し、店長らに通告した上で床に撒いて放火した。その結果、店舗を全焼させるとともに、店内にいた5名を死亡させ、他数名に重傷を負わせた。動機は理不尽な…
実務上の射程
多数の被害者が発生した強盗殺人事件において、殺害態様の残虐性と結果の重大性を重視し、永山基準に照らして死刑適用を肯定する典型的な事例判断として活用できる。
事件番号: 平成11(あ)1115 / 裁判年月日: 平成16年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金員奪取を目的とした2件の強盗殺人等について、犯行態様の冷酷さや動機の身勝手さ、被害結果の重大性及び遺族の厳しい処罰感情を考慮し、死刑の量刑を維持した事例である。 第1 事案の概要:被告人は、所持金に窮し、5日の間に2件の強盗殺人を敢行した。第1事件では、タクシー運転手を果物ナイフで刺殺して金員を…
事件番号: 昭和59(あ)590 / 裁判年月日: 昭和63年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の感情、社会的影響等の諸要素を総合的に考慮し、刑事責任が極めて重大であってやむを得ない場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、会社資金の使い込みを隠蔽するため、証拠の焼却と逃走資金の入手を計画。その過程で、妨げとなった会社上司及び…
事件番号: 平成4(あ)824 / 裁判年月日: 平成10年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人、現住建造物放火等の事案において、犯行の計画性、態様の残虐性、結果の重大性、主導的役割、及び犯行後の再犯状況等を総合考慮し、死刑の選択を維持した一審判決を是認した。 第1 事案の概要:被告人は実弟と共謀し、金員強取の目的で住居に侵入。発見された住居人女性を殺害して金庫を強取し、帰宅した別の…
事件番号: 昭和58(あ)1768 / 裁判年月日: 平成元年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度および絞首による執行方法は憲法に違反せず、犯行態様の残虐性、結果の重大性、被害者感情および社会的影響を総合考慮して、死刑の選択がやむを得ないと認められる場合には、その科刑は正当として是認される。 第1 事案の概要:被告人は、金品強取の目的で包丁を隠し持って隣家に侵入し、被害少女2名を次々に…