死刑事件(伊勢崎市連続放火、女子中学生二名強殺事件)
判旨
死刑制度および絞首による執行方法は憲法に違反せず、犯行態様の残虐性、結果の重大性、被害者感情および社会的影響を総合考慮して、死刑の選択がやむを得ないと認められる場合には、その科刑は正当として是認される。
問題の所在(論点)
死刑制度および絞首による執行方法の合憲性、ならびに強盗殺人および放火等の余罪を有する被告人に対し、死刑を選択した原判決の量刑(死刑の選択が許容される基準)が妥当か。
規範
死刑の選択に当たっては、①犯行の態様、②結果の重大性(殺害された被害者の数等)、③被害者の遺族に与えた影響および被害感情、④社会的影響、⑤犯人の性格・経歴、⑥犯行の動機等を総合的に考慮すべきである。これらの諸点に照らし、その罪責が極めて重大であって、罪刑均衡の観点からも一般予防の観点からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合には、死刑を科すことが許容される。
重要事実
被告人は、金品強取の目的で包丁を隠し持って隣家に侵入し、被害少女2名を次々に殺害した上で、装身具等を強取した。その後、犯跡を隠蔽するために死体に灯油をかけて家屋を焼燬(現住建造物等放火)したほか、別の窃盗事件においても犯跡隠蔽のために非現住建造物等への放火を繰り返した。
あてはめ
本件強盗殺人および現住建造物等放火について、包丁を準備し少女2名を殺害した態様は「残虐」であり、2名の命を奪った「結果はきわめて重大悲惨」である。遺族の「被害感情は強く」、社会的影響も無視できない。また、犯跡隠蔽のために死体に点火して放火に及ぶなど、犯行後の情状も悪質である。被告人が心神耗弱の状態になかったことも考慮すれば、これらの事情は死刑を回避すべき決定的な事情とはならず、死刑の科刑はやむを得ないといえる。
結論
事件番号: 昭和59(あ)590 / 裁判年月日: 昭和63年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の感情、社会的影響等の諸要素を総合的に考慮し、刑事責任が極めて重大であってやむを得ない場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、会社資金の使い込みを隠蔽するため、証拠の焼却と逃走資金の入手を計画。その過程で、妨げとなった会社上司及び…
死刑制度および執行方法は憲法9条、13条、31条、36条に違反しない。また、本件の犯行態様や結果の重大性に鑑み、死刑を維持した原判決の量刑は正当である。
実務上の射程
本判決(永山基準後の死刑判決)は、死刑選択の判断枠組みを再確認したものである。答案上は、殺害人数が複数であること、犯行態様の残虐性(計画性や殺害方法)、執拗な隠蔽工作(放火等)といった具体的事実を、死刑選択の各判断要素にあてはめる際の指標として活用すべきである。
事件番号: 平成4(あ)824 / 裁判年月日: 平成10年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人、現住建造物放火等の事案において、犯行の計画性、態様の残虐性、結果の重大性、主導的役割、及び犯行後の再犯状況等を総合考慮し、死刑の選択を維持した一審判決を是認した。 第1 事案の概要:被告人は実弟と共謀し、金員強取の目的で住居に侵入。発見された住居人女性を殺害して金庫を強取し、帰宅した別の…
事件番号: 平成11(あ)1115 / 裁判年月日: 平成16年4月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金員奪取を目的とした2件の強盗殺人等について、犯行態様の冷酷さや動機の身勝手さ、被害結果の重大性及び遺族の厳しい処罰感情を考慮し、死刑の量刑を維持した事例である。 第1 事案の概要:被告人は、所持金に窮し、5日の間に2件の強盗殺人を敢行した。第1事件では、タクシー運転手を果物ナイフで刺殺して金員を…
事件番号: 平成15(あ)1120 / 裁判年月日: 平成19年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人・現住建造物等放火罪において、利欲目的による計画的かつ冷酷な犯行であり、6名という多数の生命を奪った結果が極めて重大である場合、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、高級宝飾品店を狙い、従業員らを殺害して商品を強取することを計画。従業員6名の手足を縛り休憩室に押し込めた上で、…
事件番号: 平成14(あ)1550 / 裁判年月日: 平成18年9月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の刑事責任を肯定した一審・控訴審の判断を維持し、上告を棄却する。 第1 事案の概要:被告人は強奪の目的をもって、以前勤務していた店を訪れ、包丁を隠し持って侵入した。抵抗する被害者に対し、多数回にわたって執拗に突き刺すなど極めて残虐な方法で殺害した。犯行後には、罪を逃れるために灯油をまいて放火…