死刑の量刑が維持された事例(宮崎の2女性強盗殺人等事件)
判旨
被告人が多額の保険金を取得する目的で、他人の生命を奪った事案において、犯行の計画性、残虐性、結果の重大性に鑑み、死刑判決を維持した一審・二審の判断を相当とした。
問題の所在(論点)
保険金目的の殺人において、殺害された被害者が2名である場合、死刑を選択することが刑法の規定(死刑の適用基準)に照らして相当といえるか。
規範
死刑の適用については、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性(殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からやむを得ないと認められる場合に適用される。
重要事実
被告人は、保険金を不正に取得する目的で、特定の人物(被害者2名)を殺害した。犯行は計画的かつ巧妙に行われ、多額の利益を得ることを目的としていた。一審および二審はこれらの事情を重視し、死刑を選択した。
あてはめ
本件において、被告人は保険金を得るという利欲的な動機に基づき、計画的に2名の生命を奪っており、その殺害態様は冷酷かつ残虐である。被害者が2名に及んでいる事実は極めて重大であり、犯行の社会的影響も大きい。被告人の更生可能性等の有利な事情を考慮しても、その罪責は誠に重大であるといえ、死刑の選択を回避すべき特別の事情は認められない。
結論
本件の死刑判決は相当であり、被告人の上告を棄却する。
事件番号: 平成10(あ)645 / 裁判年月日: 平成16年4月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度およびその執行方法は憲法36条に違反しない。また、複数の強盗殺人等の事案において、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合考慮し、被告人の罪責が誠に重大である場合には、死刑の科刑は妥当である。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、約2か月間にわたり計4件の強…
実務上の射程
最高裁が示した「永山基準」を踏襲しつつ、保険金殺人という動機の悪質性と、被害者が2名である場合の結果の重大性を強調しており、同種の事案における量刑判断の重要な指針となる。
事件番号: 平成16(あ)1709 / 裁判年月日: 平成20年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保険金目的で2名を殺害し、強盗等を行った事案において、計画的かつ残忍な犯行態様、金銭欲による動機、主導的役割等の事情を重視し、死刑の適用を肯定した。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀し、(1)保険金目的で共犯者の夫を薬物で眠らせた上、海中に沈めて殺害し約9870万円を詐取した。(2)約6年…
事件番号: 昭和63(あ)68 / 裁判年月日: 平成5年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、犯行の罪質、動機、態様、結果等の諸事情に照らして罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択はやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、離婚届を出して身を隠した妻の所在を隠匿したとして、妻の兄らに対して恨みを抱いた。被告人は恨みを晴らすとと…
事件番号: 平成19(あ)946 / 裁判年月日: 平成22年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪を犯した被告人に対し、殺害が計画的でないことや自白・謝罪等の事情を考慮しても、犯行の経緯、動機、態様の残虐性、結果の重大性に鑑みれば、極めて重大な刑事責任を免れず、死刑の科刑は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済や逃亡中の生活費に窮し、短期間のうちに2件の強盗殺人および強…
事件番号: 平成13(あ)963 / 裁判年月日: 平成16年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の適用は、犯罪の性質、動機、態様、特に殺意の強固さや結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合考慮し、刑事責任が極めて重大であって、罪刑均衡や一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。本件では、被告人が計画の中核を担い、信頼関係を悪用して2名を惨殺した強盗殺人の態様を重くみて、死刑…