死刑の量刑が維持された事例(東京,群馬,滋賀の連続強盗殺人事件)
判旨
死刑制度およびその執行方法は憲法36条に違反しない。また、複数の強盗殺人等の事案において、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合考慮し、被告人の罪責が誠に重大である場合には、死刑の科刑は妥当である。
問題の所在(論点)
強盗殺人罪等の事案における死刑選択の可否、および死刑制度の憲法36条(残虐な刑罰の禁止)適合性。
規範
死刑の選択に当たっては、①犯行の性質(罪質)、②動機、③態様(殺害方法の残酷さ等)、④結果の重大性(殺害人数等)、⑤被害者の遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦犯人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からやむを得ない場合に認められる(永山基準の踏襲)。また、死刑制度そのものは憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらない。
重要事実
被告人は共謀の上、約2か月間にわたり計4件の強盗殺人・同未遂等を敢行した。第1事件では包丁で刺殺し約3005万円相当を強取、第2事件では胸部を刺し重傷を負わせ(未遂)、第3事件では至近距離から拳銃で射殺し現金等を強取、第4事件ではハンマーで殴打し包丁で刺殺して金庫を強取した。被害者は死者3名、重傷者1名に及んだ。
あてはめ
本件各犯行は金銭欲による利己的なもので動機に酌量の余地がない(②)。犯行態様は大胆不敵、冷酷かつ残虐であり(③)、何ら落ち度のない3名の生命を奪った結果は極めて重大である(④)。被告人は各犯行で重要な役割を担い積極的に実行しており、遺族の処罰感情も峻烈で社会的影響も大きい(⑤⑥)。共犯者に主導的な者がいた等の有利な事情を考慮しても、罪罰の均衡から死刑はやむを得ない。
結論
事件番号: 昭和63(あ)68 / 裁判年月日: 平成5年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、犯行の罪質、動機、態様、結果等の諸事情に照らして罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択はやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、離婚届を出して身を隠した妻の所在を隠匿したとして、妻の兄らに対して恨みを抱いた。被告人は恨みを晴らすとと…
被告人に対する死刑の判決を維持した原判決は妥当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
複数の殺人・強盗殺人事件における量刑判断の枠組みを示す。いわゆる「永山基準」を再確認し、特に「殺害人数が複数(本件は3名)」であることや、犯行の「残虐性」「利己的な動機」が重視されることを示している。答案上は、死刑の違憲主張への反論や、量刑の妥当性を論述する際の考慮要素の整理として活用できる。
事件番号: 平成19(あ)946 / 裁判年月日: 平成22年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪を犯した被告人に対し、殺害が計画的でないことや自白・謝罪等の事情を考慮しても、犯行の経緯、動機、態様の残虐性、結果の重大性に鑑みれば、極めて重大な刑事責任を免れず、死刑の科刑は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済や逃亡中の生活費に窮し、短期間のうちに2件の強盗殺人および強…
事件番号: 平成18(あ)746 / 裁判年月日: 平成20年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等1件、強盗殺人未遂1件、現住建造物等放火1件、窃盗等14件を犯した事案において、犯行の態様が極めて執拗かつ残虐であり、1名死亡という結果も重大であるが、被告人が若年で前科がなく反省の情を示している等の事情を考慮し、死刑の選択を回避して無期懲役とした原判決を維持した。 第1 事案の概要:中…
事件番号: 平成19(あ)1317 / 裁判年月日: 平成20年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が適当であるとされるためには、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも…
事件番号: 昭和62(あ)879 / 裁判年月日: 平成4年9月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その責任が極めて重大であって、やむを得ない場合に限り許される。 第1 事案の概要:被告人は、前妻の実母を殺害した罪等により無期懲役に処せられ、仮出獄中であっ…