死刑事件(前妻の親族2名強殺事件)
判旨
死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その責任が極めて重大であって、やむを得ない場合に限り許される。
問題の所在(論点)
死刑の選択が許容されるための判断枠組み、および本件の具体的な事実関係に照らした量刑(死刑)の妥当性。
規範
死刑の選択は、罪責が極めて重大であって、刑の均衡の観点からも、また一般予防の観点からも、やむを得ない場合に限られる。判断に際しては、①犯行の性質(罪質)、②動機、③態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、④結果の重大性(殺害された人数等)、⑤遺族の被害感情、⑥社会的影響、⑦被告人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状等、諸般の事情を総合考慮すべきである(永山基準の踏襲)。
重要事実
被告人は、前妻の実母を殺害した罪等により無期懲役に処せられ、仮出獄中であった。前妻への逆恨みから復讐を企て、深夜に前妻の親族宅へ侵入。前妻の居所を答えなかった未亡人およびその養女の2名を、刺身包丁で多数回突き刺して殺害し、現金を強取した。
あてはめ
本件は無期懲役の仮出獄中に、再び逆恨みという身勝手な動機から2名の命を奪ったものである。殺害方法は刺身包丁で多数回突き刺すという執拗かつ残虐な態様であり、2名の死亡という結果は極めて重大である。遺族の処罰感情も峻烈であり、前科(殺人等)の存在を併せれば、被告人の生い立ち等の情状を考慮しても、その刑事責任は極めて重大といえる。
結論
本件の罪質、動機、態様、結果の重大性等に照らせば、第一審の死刑判決を維持した原判決の判断はやむを得ないものとして是認される。
事件番号: 昭和63(あ)68 / 裁判年月日: 平成5年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、犯行の罪質、動機、態様、結果等の諸事情に照らして罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択はやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、離婚届を出して身を隠した妻の所在を隠匿したとして、妻の兄らに対して恨みを抱いた。被告人は恨みを晴らすとと…
実務上の射程
永山基準(最判昭58.7.8)を再確認し、特に「無期懲役刑の仮出獄中」かつ「同種の前科」がある場合における死刑選択の正当性を示す。答案では、量刑の妥当性が問われる際に、基準となる諸要素を列挙し、事実を当てはめる際のフレームワークとして使用する。
事件番号: 昭和62(あ)192 / 裁判年月日: 平成2年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は、居直り強…
事件番号: 昭和57(あ)932 / 裁判年月日: 昭和59年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の犯罪歴や性格、生育環境等の諸事情を総合的に考慮し、その科刑がやむを得ないと認められる場合にはこれを肯定できる。 第1 事案の概要:被告人は金品を強取するため、就寝中の一家5名全員の殺害を企図。ハンマーで強打し、あ…
事件番号: 平成19(あ)946 / 裁判年月日: 平成22年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の罪を犯した被告人に対し、殺害が計画的でないことや自白・謝罪等の事情を考慮しても、犯行の経緯、動機、態様の残虐性、結果の重大性に鑑みれば、極めて重大な刑事責任を免れず、死刑の科刑は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済や逃亡中の生活費に窮し、短期間のうちに2件の強盗殺人および強…
事件番号: 平成19(あ)1317 / 裁判年月日: 平成20年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が適当であるとされるためには、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも…