更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することは,(1)上記貸金業者の発行したカードは従前どおり使用することができる旨の社告が新聞に掲載された際に,上記貸金業者において,過払金返還請求権につき債権の届出をしないと更生会社がその責めを免れることになる旨の説明をせず,(2)上記貸金業者の更生手続におけるのと同一の会社をスポンサーとして進められた別の貸金業者の更生手続において,債権の届出がされなかった過払金返還請求権についてもその責めを免れないとの取扱いがされたという事情があったとしても,信義則に反するとはいえない。
更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが信義則に反しないとされた事例
民法1条2項,旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)241条,会社更生法204条1項
判旨
貸金業者が制限超過利息を利息の支払として受領したことが、利息制限法1条2項(現4条1項)にいう「債務者が任意に支払った」ものといえるためには、特段の事情のない限り、債務者が自己の自由な意思によって支払ったことを要し、そのための要件として、貸金業法17条および18条所定の書面が交付されている必要がある(最一小判平成18年1月13日)。
問題の所在(論点)
貸金業者が制限超過利息を受領した場合において、貸金業法17条・18条所定の書面交付を欠くにもかかわらず、利息制限法1条2項(当時)の「任意」の支払として有効な利息の支払と認められるか。
規範
利息制限法1条2項(現4条1項)にいう「債務者が任意に支払った」とは、債務者が超過利息の支払につき自己の自由な意思によってこれを支払ったことを意味する。そして、貸金業法(旧貸金業規制法)43条1項の適用によりみなし弁済が認められるためには、同法17条所定の書面(契約締結時交付書面)及び18条所定の書面(領収書等)が適法に交付されていることが必要不可欠な前提要件となる。これらの書面交付を欠く場合には、債務者が支払義務の範囲を正確に認識した上での自由な意思による支払とはいえず、原則として「任意」の支払とは認められない。
事件番号: 平成16(受)424 / 裁判年月日: 平成18年1月24日 / 結論: 破棄差戻
1 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借に,債務者が元本及び約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の約定が付されている場合,同約定中,債務者が約定利息のうち制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同法1条1項の趣旨に反して無効であ…
重要事実
上告人(貸金業者)は、被上告人(借主)との金銭消費貸借契約に基づき、利息制限法所定の制限利率を超える利息を受領していた。上告人は、返済の際に貸金業法18条所定の書面を交付していたが、その書面には利息制限法を超過する利息についての説明や、本来であれば元本に充当されるべき金額についての明示的な説明が不足していた。上告人は、本件支払が同法43条1項のみなし弁済に該当し、不当利得返還義務を負わないと主張した。
あてはめ
利息制限法を超過する利息の支払は、債務者が支払義務がないことを認識しつつ自発的に行う場合に限り「任意」といえる。貸金業法が17条・18条で厳格な書面交付義務を課している趣旨は、債務者に契約内容を明確に認識させ、不当な利息負担から保護することにある。本件では、上告人は法所定の要件を満たす十分な説明や書面交付を行っておらず、被上告人が超過利息分について支払義務がないことを認識した上で自由な意思に基づき支払ったとはいえない。したがって、みなし弁済の適用要件を欠くのみならず、利息制限法上の「任意の支払」という評価も根拠づけられない。
結論
上告人による制限超過利息の受領は、利息制限法1条2項(当時)の「任意の支払」には該当せず、超過部分は元本に充当される。その結果生じた過払金については、不当利得として返還義務を免れない。
実務上の射程
本判決は、いわゆる「みなし弁済」の成立要件を厳格に解し、書面交付なき超過利息受領を原則として不当利得と位置づけたもので、その後の過払金返還請求訴訟の帰趨を決定づけた重要な判例である。
事件番号: 平成21(受)47 / 裁判年月日: 平成21年9月4日 / 結論: その他
貸金業者が借主に対し貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成するのは,貸金業者が当該貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに,あえてその請求をしたなど,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られ,この理は…
事件番号: 平成14(受)912 / 裁判年月日: 平成16年2月20日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が,貸金の弁済を受ける前に,その弁済があった場合の貸金業の規制等に関する法律18条1項所定の事項が記載されている書面で貸金業者の銀行口座への振込用紙と一体となったものを債務者に交付し,債務者がこの書面を利用して同銀行口座に対する払込みの方法によって利息の支払をしたとしても,同法43条1項の適用要件である同法18…
事件番号: 平成18(受)276 / 裁判年月日: 平成19年7月13日 / 結論: 破棄差戻
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付してい…
事件番号: 平成18(受)1666 / 裁判年月日: 平成19年7月17日 / 結論: その他
貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,民法704条の「悪意の受…