判旨
事実誤認の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行法上の上告理由の制限と同様の趣旨)により、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実誤認の主張が、当時の刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行法405条、406条参照)の下で適法な上告理由となるか。
規範
上告審において事後審的性格を維持するため、単なる事実誤認の主張は、憲法違反や判例違反などの限定された上告理由に含まれない限り、不適法な上告理由として棄却される。
重要事実
被告人が原判決の事実認定に不服があるとして上告を申し立てたが、その主張の内容は原判決の認定した事実関係を争うものであった。
あてはめ
弁護人が主張する上告趣意は、結局のところ原判決が認定した事実の誤りを指摘する「事実誤認」の主張に帰するものである。これは、法が定める限定的な上告理由(憲法違反、判例違反等)には該当せず、上告を継続させるための法的根拠を欠くものといえる。
結論
本件事案における事実誤認の主張は、上告適法の理由にはならないため、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の上告趣意の限定性を確認する趣旨で用いられる。司法試験においては、上告審の構造(事後審)や、上告理由が405条等に限定されていることを論証する際の基礎的な論理として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)1803 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、事実誤認の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらないことを示し、かつ、職権による判決破棄事由である同法411条の適用も否定したものである。 第1 事案の概要:被告人側が事実誤認を理由として上告を申し立てた事案である。弁護人は、下級審の事実認定に誤りがあることを主張して上告趣意書を提出した…