原決定のいかなる点がいかなる理由で憲法に違反するのか具体的に主張のない特別抗告は、不適法である。
違憲の具体的主張のない特別抗告
民訴規則46条,民訴規則53条,民訴規則60条
判旨
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に認められた場合に限定される。また、特別抗告においては憲法違反の具体的な主張を欠く場合には不適法として却下される。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する特別抗告(民事訴訟法旧419条ノ2)において、憲法違反の主張が具体的でない場合に、当該抗告は適法なものとして認められるか。
規範
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を持つのは、民事訴訟法(現行法419条の2、旧法419条ノ2)に定められた特別抗告のみである。また、憲法違反を理由とする抗告においては、原決定のいかなる点がいかなる理由で憲法に違反するのかを具体的に主張しなければならない。
重要事実
抗告人は、原決定に対し憲法14条(法の下の平等)および32条(裁判を受ける権利)の違反を主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、抗告状または抗告理由書において、原決定のどの部分がどのような理由でそれらの憲法規定に抵触するのかという具体的な適示を欠いていた。
事件番号: 昭和31(ク)111 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に規定する特別抗告の場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判官の忌避の原因につき疎明がないとした原審の判断を不服として、最高裁判所に抗告を申し立て…
あてはめ
最高裁判所の裁判権は、法が特に許容した範囲に限定される。本件抗告理由は、憲法14条・32条違反を掲げるものの、その具体的な違憲の事由が何であるかが示されていない。このように具体的な憲法違反の指摘を欠く主張は、最高裁判所が裁判権を行使すべき実質的な申立ての要件を満たしていないと評価される。
結論
本件抗告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
特別抗告の不適法却下の典型例を示すものである。実務上、最高裁への特別抗告を維持するためには、単に憲法の条数を列挙するだけでなく、原決定との具体的な抵触関係を摘示する必要があることを示唆する。
事件番号: 昭和31(ク)233 / 裁判年月日: 昭和31年9月14日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)の特別抗告に限定される。憲法違反を主張しても、その実質が単なる事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判官の…
事件番号: 昭和52(ク)249 / 裁判年月日: 昭和52年12月1日 / 結論: 却下
民訴法三九条は除斥又は忌避についての裁判機関を定めたものであるから、裁判官が憲法七六条三項所定の良心に従つた裁判をすることとはなんら関係がない。
事件番号: 昭和31(ク)112 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許された場合に限られ、民事事件では民事訴訟法旧419条の2(現行336条)所定の抗告に限られる。抗告理由に「違憲」の文言があっても、その実質が事実認定の不当を争うものである場合は、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は…
事件番号: 昭和47(ク)216 / 裁判年月日: 昭和47年9月7日 / 結論: 棄却
忌避を申し立てられた裁判官が退官したことを理由とし、忌避申立を利益がないとして却下した決定は、申立の実質的理由につき判断を示さなかつたからといつて、憲法三二条に違反するものではない。