民訴法三九条は除斥又は忌避についての裁判機関を定めたものであるから、裁判官が憲法七六条三項所定の良心に従つた裁判をすることとはなんら関係がない。
民訴法三九条と憲法七六条
憲法76条3項,民訴法39条
判旨
最高裁判所に抗告を申し立てることができるのは法律が特に許容した場合に限られる。除斥・忌避の裁判機関を定める規定は憲法76条の良心に従う義務と無関係であり、実質的に原決定の不当を争うにすぎない抗告は不適法である。
問題の所在(論点)
裁判官の忌避申立てを却下した決定に対し、最高裁判所へ抗告(特別抗告)を申し立てる際、単なる法律違反や不当を憲法違反に名を借りて主張することが許されるか。また、除斥・忌避の裁判機関規定が憲法76条に違反するか。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告申し立てが許容されている場合に限定される。民事事件においては、旧民事訴訟法419条の2(現行336条)に定められた特別抗告のみがこれに該当する。また、裁判官の除斥・忌避に関する裁判機関を定める規定(旧民訴法39条)は、裁判官の職務上の義務を定めた憲法76条とは論理的関連性を有しない。
重要事実
抗告人は、裁判官の忌避申立てを排斥した原決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は、除斥・忌避の裁判機関を定める当時の民事訴訟法39条が憲法76条(裁判官の良心に従う独立)に違反すると主張したが、その実態は忌避申立てを退けた判断そのものの違法・不当を争うものであった。
事件番号: 昭和26(ク)67 / 裁判年月日: 昭和26年5月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に定めた場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行の特別抗告に相当)に規定される憲法違反の判断が含まれる場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた事案。抗告理由は、原決定にお…
あてはめ
最高裁判所への抗告は厳格に制限されており、憲法違反等の特別の事由が必要である。本件において抗告人が主張する「民訴法39条の違憲」は、裁判機関の形式を定めた規定と裁判官の内心的良心を結びつけるものであり、前提を欠く独自の主張にすぎない。結局のところ、抗告人の主張は忌避申立てを排斥した判断の妥当性を争う「単なる法令違背の主張」に帰結し、特別抗告の適法な理由には当たらないと解される。
結論
本件抗告は、旧民訴法419条の2(現行336条)所定の適法な抗告理由を備えていないため、不適法として却下される。
実務上の射程
特別抗告(現行336条)において、形式的に違憲を主張していても、その実質が単なる裁判の不当・法令違背の主張にすぎない場合には、不適法として却下されるという実務上の運用を確認するものである。
事件番号: 昭和25(ク)109 / 裁判年月日: 昭和26年2月3日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては特別抗告(民訴法336条、旧419条の2)のみがこれに該当する。したがって、最高裁判所に対する抗告理由は、原決定における憲法適合性の判断の不当性を主張するものに限られる。 第1 事案の概要:抗告人が最高…
事件番号: 昭和41(ク)122 / 裁判年月日: 昭和41年4月6日 / 結論: 却下
原決定のいかなる点がいかなる理由で憲法に違反するのか具体的に主張のない特別抗告は、不適法である。
事件番号: 昭和26(ク)176 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に定めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、民事事件の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の内容は、原決定が憲法に違反…
事件番号: 昭和26(ク)10 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は原決定における憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…