準備書面記載の事実を「事情として陳述する」旨の弁論は、右事実を訴訟資料としない趣旨に解すべきである。
「事情として陳述する」旨の弁論の趣旨
民訴法125条1項
判旨
当事者が口頭弁論において、一部の書面記載事実を「事情として述べたもの」として整理し、特定の準備書面を陳述しなかった場合、判決においてこれらに直接回答しなくても判断遺脱の違法とはならない。
問題の所在(論点)
当事者が準備書面で言及した事実を「事情」として述べたと整理した場合、または準備書面が陳述されなかった場合に、これらに対する判断を示さないことが民事訴訟法上の判断遺脱にあたるか。
規範
裁判所は、当事者が口頭弁論において主張として確定させた事実について判断を示せば足り、単なる「事情」として述べられた事項や、口頭弁論で陳述されていない準備書面の内容について個別に判断を示す必要はない。
重要事実
上告人(控訴人)は、原審第10回口頭弁論において、事実主張を原判決および第1審判決の摘示通りに確定させた。その際、特定の準備書面記載の事実のうち右以外の事実は「事情として述べたものである」旨を陳述した。また、別の準備書面(昭和40年5月10日付)については、記録上、原審口頭弁論で陳述されていなかった。
あてはめ
上告人は自ら主張事実を限定し、それ以外の事実を「事情」にすぎないと陳述している。また、一部の準備書面は口頭弁論を経ておらず、主張として有効に提出されていない。原判決は、上告人が主張として確定させた事実についてはすべて判断を示している。したがって、当事者が主張の枠組みから外した事項や陳述されなかった書面の内容について判断を遺脱したとはいえない。
結論
原判決に判断遺脱の違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
弁論主義および口頭主義の原則を確認する事案である。答案上は、当事者が主張を撤回・整理した場合や、口頭弁論での陳述を欠く書面の法的効力が問われる場面で、裁判所の判断対象を画定するための根拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)1113 / 裁判年月日: 昭和37年4月12日 / 結論: 棄却
主債務者に対する債務存在の確定判決の効力は、当事者を異にするその債務の保証人には及ばない。