当事者の認否の陳述がないままに、書証の成立を認定しても、違法ではない。
書証の成立の認定と当事者の認否の要否
民訴法325条,民訴法257条
判旨
当事者が書証の成立について認否の陳述をしない場合であっても、裁判所が弁論の全趣旨等に基づき、その成立の真正を認定することは適法である。
問題の所在(論点)
当事者が書証の成立について認否の陳述を行わないまま、裁判所が当該書証の成立の真正を認定することができるか。また、それは民事訴訟法上の証拠法則に反しないか。
規範
書証の成立の真正については、必ずしも当事者の明示的な認否を要するものではない。裁判所は、当事者が認否をしない場合であっても、弁論の全趣旨(民事訴訟法247条)や他の証拠に基づき、裁判所の自由心証によってその成立を認定することができる。
重要事実
上告人は、原審において提出された複数の書証(登記簿謄本である甲4号証の1ないし3、および甲5号証の1、2、甲6号証)について、認否の陳述を行わなかった。これに対し原審は、当該登記簿謄本を公文書として成立を真正と認め、その他の書証についても弁論の全趣旨から成立の真正を認定した。上告人は、認否の陳述がないまま成立を認定したことは違法であるとして上告した。
あてはめ
まず、甲4号証の1ないし3は登記簿謄本であり、公文書としての性質を有することから、その成立の真正を認めたことに違法はない。次に、甲5号証の1、2および甲6号証については、上告人が原審において認否を行っていない事実は認められる。しかし、裁判所が弁論の全趣旨からこれらの成立を真正と判断することは、自由心証主義の範囲内として許容される。認否の陳述を欠くことは、直ちに成立認定を妨げる事由にはならないと解される。
結論
当事者の認否がないまま書証の成立を認定した原判決に違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
実務上、相手方が提出した書証に対し「不知」や「認める」等の認否を留保・懈怠した場合でも、裁判所は弁論の全趣旨によって形式的証拠力を認めることが可能である。答案作成においては、自白が成立しない状況下での証拠調べの適法性を基礎づける際に活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)1023 / 裁判年月日: 昭和35年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特定の証拠(日記)が提出されていないという事実自体から、契約不成立の事実を推認することは許される。また、提出された全証拠を総合しても契約締結の事実が認められない場合には、請求を排斥すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人との間で連帯保証契約が成立したと主張したが、原審はその契約成立を認…