判旨
特定の証拠(日記)が提出されていないという事実自体から、契約不成立の事実を推認することは許される。また、提出された全証拠を総合しても契約締結の事実が認められない場合には、請求を排斥すべきである。
問題の所在(論点)
当事者が特定の証拠を提出しないという事実を、主要事実(本件では連帯保証契約の成立)の不存在を推認する資料とすることができるか。
規範
事実認定において、当事者が当然に所持・提出し得ると考えられる有力な証拠(日記等)を提出していないという消極的な事実は、当該証拠によって証明されるべき事実(契約の成立等)が存しないことを推認させる間接事実の一つとなり得る。
重要事実
上告人は、被上告人との間で連帯保証契約が成立したと主張したが、原審はその契約成立を認めるに足りる証拠がないと判断した。その際、原審は上告人が所論の日記を証拠として提出していないという事実を考慮し、契約が成立しなかったと推認した。上告人はこの証拠取捨や事実認定を不服として上告した。
あてはめ
原審は、上告人が日記を証拠として提出していないこと自体から連帯保証契約の不成立を推認しているが、それのみに依拠したわけではない。上告人が提出・援用した全証拠を総合的に検討した結果、被上告人が連帯保証を承諾したという積極的な事実は認められないと判断した。このような証拠の取捨選択および事実の認定プロセスは合理的であり、首肯できる。
結論
本件連帯保証契約の成立は認められず、上告を棄却する。
実務上の射程
民事訴訟における自由心証主義(民訴法247条)の範囲内として、証拠の不提出という挙動が事実認定において不利益に働く可能性があることを示唆している。答案上は、証明責任を負う当事者が有力な証拠を提出しない場合に、事実認定の合理性を基礎付ける補強的な事情として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)693 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】文書の真正は、挙示された証拠資料に基づき原審の専権事項として判断されるべきものであり、印顆の盗用等の反証がない限り、その成立を肯定することができる。 第1 事案の概要:上告人は、提出された証拠(甲2、3、4号証の1)が真正に成立したものではないと主張した。具体的には、印章が盗用されたものであること…