被告(控訴人)が数回適法な呼出を受けながら、第一、二審とも口頭弁論に出頭しなかつた場合、第二審裁判所が、準備書面に記載もなくまた写の送達もなかつた原告(被控訴人)提出の書証を採用して控訴人敗訴の判決をしても、控訴人において右書証が提出さるべきことを十分予想し得べかりし場合においては、右第二審裁判所の措置は違法ではない。
相手方不在廷の場合における準備書面に記載もなく写の送達もない書証の提出。
民訴法243条,民訴法245条,民訴法247条
判旨
当事者が口頭弁論に欠席した場合でも、相手方が提出する証拠や主張が十分に予想可能であれば、書証の写しの送達等がなくとも当該証拠に基づき事実認定を行うことは違法ではない。
問題の所在(論点)
当事者が口頭弁論に欠席し、証拠の写しの送達等が行われていない場合に、当該証拠に基づき事実を認定することが不意打ちとして違法となるか(民事訴訟法上の適正手続の範囲)。
規範
民事訴訟法における口頭弁論や準備書面に関する諸規定は、当事者が予想し得ない事項によって裁判がなされる不意打ちを防止する趣旨である。したがって、当事者が事前に当該事項を十分予想し得べき状況にある場合には、手続上の形式的欠缺(証拠写しの不送達等)があったとしても、これに基づいて事実認定を行うことは許容される。
重要事実
上告人(被告)およびその代理人は、第一審・第二審ともに正規の呼出を受けながら一度も口頭弁論に出頭しなかった。被上告人(原告)は第一審で書証を提出し、第一審裁判所はこれに基づき被上告人勝訴の判決を下した。この判決は適法に上告代理人に送達されていた。しかし、第二審においても上告人は欠席し、原審(第二審)は第一審と同様の書証等に基づき事実を認定して判決を維持した。上告人は、当該書証の写しの送達がなく、準備書面にも記載がなかったことを違法として争った。
あてはめ
上告人は第一審の判決正本の送達を受けており、第一審で認定された事実や提出された証拠の内容を把握していた。そのため、第二審においても同様の事実が主張され、立証資料として同じ書証が提出されることは「十分予想し得べきこと」であったといえる。このように不意打ちの危険がない状況下では、書証の写しの送達や準備書面への記載という形式的要件が欠けていたとしても、実質的な防御の機会を奪うものではないため、当該証拠に基づく事実認定は違法ではないと判断される。
結論
本件事実認定の手続に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
不意打ち防止の観点から「当事者の予想可能性」を重視する判断枠組み。特に一審で示された証拠が二審で再提出される場合など、手続的瑕疵が実質的な不利益を招かない場面での適法性判断に活用できる。
事件番号: 昭和42(オ)1370 / 裁判年月日: 昭和43年5月28日 / 結論: 棄却
被控訴代理人のみが出頭した控訴審の口頭弁論期日の調書に、被控訴代理人の陳述として「原判決事実摘示のとおり原審口頭弁論の結果陳述」と記載されているときは、被控訴代理人において当事者双方にかかり、かつ証拠調の結果をも含む第一審口頭弁論の結果を陳述した趣旨を記載したものであつて、被控訴代理人は、その記載にそう陳述をしたものと…