判旨
口頭弁論期日における自白に類する陳述について、後の準備書面による訂正が認められない場合、当該陳述は有効な裁判上の自白として維持される。
問題の所在(論点)
口頭弁論期日においてなされた「証拠が相手方の帳簿である」との陳述が、その後に提出された準備書面によって訂正されたと認められるか。また、一方当事者の不出頭を理由とする弁論終結が適法か。
規範
当事者が口頭弁論において行った、証拠(帳簿等)の成立を認めるなどの事実に関する陳述は、その後の準備書面によって明確な訂正がなされない限り、裁判上の自白としての効力を維持し、撤回や変更は制限される。
重要事実
被告(上告人)は、第一審の口頭弁論において、原告が提出した甲第一、二号証(帳簿)について「原告会社の帳簿であることは認めるが、内容は不知」と陳述した。その後、被告は準備書面を提出したが、そこには先の陳述を明確に訂正する内容は含まれていなかった。また、控訴審の口頭弁論期日に被告(控訴人)が出頭しなかったため、裁判所は被告不出頭のまま弁論を終結した。
あてはめ
被告は第一審の期日において、本件帳簿が原告のものであることを明確に認める陳述を行っている。これに対し、被告が後に提出した準備書面の記載内容を検討しても、先の陳述を具体的に翻し、訂正したものとは認められない。したがって、先の陳述の効力は失われていない。また、控訴審において適法に呼び出しを受けた当事者が不出頭である以上、そのまま弁論を終結した原審の措置に違法はない。
結論
本件帳簿の成立を認めた陳述の訂正は認められず、また不出頭による弁論終結も適法であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判上の自白(あるいはこれに準ずる陳述)の撤回・訂正には、準備書面等で明確な意思表示がなされる必要があることを示唆する。また、期日への不出頭が継続する場合の弁論終結の適法性を確認する際の根拠となる。
事件番号: 昭和41(オ)307 / 裁判年月日: 昭和41年6月3日 / 結論: 棄却
準備書面記載の事実を「事情として陳述する」旨の弁論は、右事実を訴訟資料としない趣旨に解すべきである。