当事者能力は、事実審口頭弁論終結の時に存在することを要し、裁判所はその時において当事者能力の有無を判断すれば足り、その時以後に生じた事実を斟酌する必要はない。
当事者能力の有無の判断の基準時
民訴法45条
判旨
当事者能力は事実審の口頭弁論終結時を基準に判断すべきであり、その判断にあたり弁論終結後の事由を斟酌する必要はなく、弁論再開の是非は裁判所の専権に属する。
問題の所在(論点)
訴訟要件の一つである当事者能力の存否を判断すべき基準時はいつか。また、弁論終結後に当事者能力を取得したという主張に基づき、裁判所は口頭弁論を再開する義務を負うか。
規範
当事者能力は、訴訟要件の一つとして事実審の口頭弁論終結時に存在することを要する。裁判所はその時点における当事者能力の有無を判断すれば足り、それ以後に生じた事由を斟酌する必要はない。また、一度終結した口頭弁論を再開するか否かは、裁判所の専権に属する事案である。
重要事実
上告人は、原審(事実審)の口頭弁論終結後に、自らが権利能力なき社団としての実体を備え当事者能力を取得したと主張し、口頭弁論の再開を申し立てた。しかし、原審はこれに応じず、弁論終結時の状態を基準に当事者能力を欠くと判断して訴えを退けたため、上告人が審理不尽等の違法を理由に上告した。
事件番号: 昭和32(オ)543 / 裁判年月日: 昭和35年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所は、訴訟が判決をなすに熟すると認めるときは職権で弁論を終結させることができ、一度終結した弁論を再開するか否かは裁判所の合理的な裁量に委ねられる。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)において新たな主張および証拠(新主張・新証拠)の提出を予定していたが、原審裁判所は訴訟が裁判をなすに熟し…
あてはめ
当事者能力の有無は事実審口頭弁論終結時において判定されるべきものである。本件において、上告人が当事者能力を取得したと主張する時期は「原審口頭弁論終結後」であるから、裁判所がこれを考慮せず、終結時の状態を前提に判断を下したことに違法はない。また、弁論再開の申立に対し、これに応じない判断も裁判所の専権の範囲内である。
結論
上告人が事実審の口頭弁論終結後に当事者能力を取得したとしても、原審がその判断にあたり当該事実を斟酌しなかったことに違法はなく、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
訴訟要件(当事者能力、当事者適格等)の判断基準時が「事実審の口頭弁論終結時」であることを明示する際の根拠となる。また、弁論再開が裁判所の裁量(専権)であることを論じる際の基本的判例として活用できる。
事件番号: 昭和40(オ)463 / 裁判年月日: 昭和42年6月27日 / 結論: 棄却
単に「やむをえぬ出頭不能の事情が発生した」というだけでは、民訴法第一五二条第五項にいう「顕著ナル事由」にあたらない。