単に「やむをえぬ出頭不能の事情が発生した」というだけでは、民訴法第一五二条第五項にいう「顕著ナル事由」にあたらない。
民訴法第一五二条第五項にいう「顕著ナル事由」にあたらないとされた事例
民訴法152条
判旨
口頭弁論期日の変更は「顕著な事由」がある場合に限り許され、また終結した口頭弁論の再開は原則として裁判所の自由裁量に属する。
問題の所在(論点)
1. 単なる「やむを得ぬ出廷不能の事情」が期日変更の要件である「顕著な事由」に該当するか。2. 弁論終結後の弁論再開申請に対する裁判所の判断権限の性質。
規範
1. 口頭弁論期日の変更は、民事訴訟法上の「顕著な事由」が存するときに限り許される。2. 終結した口頭弁論を再開するか否かは、特段の事情のない限り、原則として裁判所の自由裁量に委ねられている。
重要事実
上告人は、原審の第4回口頭弁論期日について、やむを得ない出廷不能の事情が発生したとして期日変更の申請を行ったが、原審はこれを認めず口頭弁論を終結させた。これに対し上告人は弁論再開の申請も行ったが、原審はいずれも容れなかった。上告人は、これらの措置が民事訴訟法等に違反すると主張して上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和41(オ)90 / 裁判年月日: 昭和43年10月15日 / 結論: 棄却
訴の変更申立を許すべからざるものと判断した場合には、その旨を判決の主文において宣言することを要するものではなく、理由中において説示すれば足りる。
1. 期日変更申請について:上告人は「やむを得ぬ出廷不能の事情」を主張するのみであり、法が厳格に要求する「顕著な事由」がある場合とは認められない。したがって、原審が期日変更を認めなかったことは適法である。2. 弁論再開申請について:弁論の再開は裁判所の裁量に属する事柄であり、本件において再開を認めなかった原審の措置に、裁量の逸脱・濫用等の違法は認められない。
結論
期日変更申請を却下し、かつ弁論再開申請を容れなかった原審の措置に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟遅延防止の観点から、期日変更要件(民訴法93条3項)が厳格に解釈されること、および弁論再開(民訴法153条)が裁判所の広範な裁量事項であることを確認する際に用いる。実務上、単なる自己都合に近い出廷不能では期日変更は認められにくいことを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和37(オ)664 / 裁判年月日: 昭和38年3月29日 / 結論: 棄却
適式に期日の告知を受けた訴訟代理人が期日前に辞任した場合、改めて当事者本人に対する期日呼出をする必要はない。
事件番号: 昭和39(オ)1074 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
一 上告人(控訴人)訴訟代理人の所為が、上告理由第一点記載の通りであつたか否かを問わず、当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、民訴法第一二七条の釈明権の行使として、当事者に対し、所論のごとき処置を採るべき裁判所の義務は存しない。 二 当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、証拠調の施行など、裁判所が職権で施行すべき手…