訴の変更申立を許すべからざるものと判断した場合には、その旨を判決の主文において宣言することを要するものではなく、理由中において説示すれば足りる。
訴変更不許の判断を主文において宣言することの要否
民訴法233条
判旨
控訴審における予備的反訴の追加的変更が「著しく訴訟手続を遅滞させる」場合に当たると判断された際、裁判所は判決の主文で宣言せずとも、理由中において不適法である旨を説示することで足りる。
問題の所在(論点)
控訴審における予備的反訴の追加的変更が「著しく訴訟手続を遅滞させる」として許されない場合、裁判所はその旨を判決の主文において宣言しなければならないか。また、全く新たな事実を請求原因とする変更が「著しく訴訟手続を遅滞させる」といえるか。
規範
訴えの変更(反訴の追加的変更を含む)が許されないと判断される要件は、それが「著しく訴訟手続を遅滞させる」場合であること(旧民訴法232条、現行民訴法143条1項但書)。裁判所が当該変更を不適法と判断した場合、その旨を必ずしも判決の主文で宣言する必要はなく、判決の理由中で説示すれば足りる。
重要事実
上告人(被告)は、控訴審(原審)において、従前の反訴請求に加え、予備的に反訴の追加的変更を申し立てた。原審は、この申立てが全く新たな事実を請求原因とするものであることを重視し、訴訟手続を著しく遅滞させるものと判断した。原審は判決の主文でこの申立てを却下する旨を明示せず、理由中においてのみ当該変更が許されない旨を判示したため、上告人が違法を主張して上告した。
事件番号: 昭和49(オ)717 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
控訴審において係属中の反訴を追加的に変更するには、その請求の基礎が同一であり、かつ、これにより著しく訴訟手続を遅滞せしめなければ足り、相手方の同意を要しない。
あてはめ
本件における予備的反訴の追加的変更は、それまでの審理経過と全く異なる「全く新たな事実」を請求原因とするものであった。このような申立ては、控訴審の段階においてそれまでの審理結果を活かすことができず、審理のやり直しを強いるものであるから、「著しく訴訟手続を遅滞させる」ものと認められる。また、訴えの変更の可否は審判の前提となる手続的事項であるため、判決の理由中で不適法である旨を説示し、その上で本案判決を行えば足り、主文で重ねて却下等の宣言を行う必要はない。
結論
控訴審での反訴変更を不適法とした原審の判断に違法はなく、主文での宣言を欠いても手続上の瑕疵はない。上告棄却。
実務上の射程
控訴審における攻撃防御方法の提出時期や訴えの変更の限界に関する事案で活用できる。特に、判決主文と理由の記載事項の関係性や、遅延を理由とする却下判断の形式を問う設問に有効である。
事件番号: 昭和27(オ)163 / 裁判年月日: 昭和29年5月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で追加された請求が、元の請求と請求原因を全く異にし、かつ元の請求の当否を判断する先決関係にもない場合、それは訴の変更に該当する。その変更が訴訟手続を遅延させると認められるときは、裁判所はこれを許容しないことができる。 第1 事案の概要:上告人は第一審において、対象土地の所有権確認および移転登…
事件番号: 昭和36(オ)1377 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において初めて予備的請求を追加・申立てることは、当事者の審級の利益を奪うものではなく、適法である。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物に関する権利を主張して訴えを提起した。第一審の判断を経て、控訴審(原審)において初めて予備的請求の申立てを行ったところ、原審…
事件番号: 昭和40(オ)463 / 裁判年月日: 昭和42年6月27日 / 結論: 棄却
単に「やむをえぬ出頭不能の事情が発生した」というだけでは、民訴法第一五二条第五項にいう「顕著ナル事由」にあたらない。
事件番号: 昭和42(オ)1088 / 裁判年月日: 昭和43年3月8日 / 結論: 棄却
訴の主観的予備的併合は不適法である。