控訴審における予備的申立を認容する判決は憲法第七六条に違反するか。
判旨
控訴審において初めて予備的請求を追加・申立てることは、当事者の審級の利益を奪うものではなく、適法である。
問題の所在(論点)
控訴審において初めて予備的請求の追加(訴えの変更)を行うことが、相手方の審級の利益を奪い、憲法や裁判所法に違反するか。
規範
控訴審において新たに請求を追加(訴えの変更)した場合、それが予備的請求であっても、原則として当事者の審級の利益を不当に奪うものとは解されず、許容される。
重要事実
被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物に関する権利を主張して訴えを提起した。第一審の判断を経て、控訴審(原審)において初めて予備的請求の申立てを行ったところ、原審はこの予備的請求を認容する判決を下した。これに対し上告人は、控訴審での予備的請求の認容は審級の利益を奪うものであり違法であると主張して上告した。
あてはめ
判例の趣旨(最大判昭23.7.7)に照らせば、控訴審において予備的請求を申し立て、それに基づき判断を下すことは、当事者の審級の利益を奪う違法を構成しない。本件においても、被上告人が原審において初めて申し立てた予備的請求を原審が認容したことは、審級の利益を奪ったものとはいえず、適法な手続によるものと解される。
結論
控訴審における予備的請求の追加は適法であり、これを認容した原判決に憲法違反等の違法はない。
事件番号: 昭和36(オ)207 / 裁判年月日: 昭和36年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決の理由記載において、第一審判決を引用することは民事訴訟法の規定に基づき適法であり、控訴審の独立した裁判を妨げるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、控訴審判決が理由の記載において第一審判決を引用したことについて、それが控訴審の不羈独立の裁判を妨げるものであると主張して上告を申し立て…
実務上の射程
訴えの変更(民訴法143条)が控訴審でなされる場合、相手方の同意がなくても審級の利益を理由に直ちに却下されるものではないという実務上の運用を支える。予備的請求であっても、事実上の審理の機会が確保されている限り、控訴審での追加・認容は可能である。
事件番号: 昭和49(オ)717 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
控訴審において係属中の反訴を追加的に変更するには、その請求の基礎が同一であり、かつ、これにより著しく訴訟手続を遅滞せしめなければ足り、相手方の同意を要しない。
事件番号: 昭和37(オ)1058 / 裁判年月日: 昭和38年5月23日 / 結論: 棄却
甲の乙に対する所有権移転登記が抹消されて甲が登記名義を回復したとき甲は丙に対し売買を原因とする所有権移転登記をせよとの丙の請求は、将来の給付請求として許される。
事件番号: 昭和27(オ)163 / 裁判年月日: 昭和29年5月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で追加された請求が、元の請求と請求原因を全く異にし、かつ元の請求の当否を判断する先決関係にもない場合、それは訴の変更に該当する。その変更が訴訟手続を遅延させると認められるときは、裁判所はこれを許容しないことができる。 第1 事案の概要:上告人は第一審において、対象土地の所有権確認および移転登…
事件番号: 昭和30(オ)171 / 裁判年月日: 昭和34年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴えの交換的変更がなされた場合に、相手方が異議なく直ちに応答陳述をしたときは、変更による旧請求の消滅および新請求への移行が適法に認められる。また、予備的請求の追加時において、その基礎となる事実が既に主張・提出されており、訴訟を著しく遅延させるおそれがない場合には、訴えの変更は適法である。 第1 事…