判旨
控訴審判決の理由記載において、第一審判決を引用することは民事訴訟法の規定に基づき適法であり、控訴審の独立した裁判を妨げるものではない。
問題の所在(論点)
控訴審判決の理由中に第一審判決を引用することが、民事訴訟法上の判決の理由記載義務に違反し、裁判の独立を侵害するか。
規範
控訴審判決において第一審判決を引用することは、民事訴訟法(現行法305条、旧法391条)の明文規定に基づき認められる適法な記載方法である。この運用は、控訴審が独自の判断を行うという裁判の不羈独立性を損なうものではない。
重要事実
上告人は、控訴審判決が理由の記載において第一審判決を引用したことについて、それが控訴審の不羈独立の裁判を妨げるものであると主張して上告を申し立てた。
あてはめ
民事訴訟法には、控訴審の判決書に理由を記載する際、第一審判決を引用できる旨の明文規定が存在する。本件においても、原審はこの規定に基づき第一審判決を引用しており、その手続は法に則った適法なものである。また、引用によって第一審の判断内容を控訴審が自身の判断として取り込むことは、審理の効率化を図る趣旨であり、控訴審が自律的に証拠の取捨選択や事実認定を行った結果であると解されるため、独立した裁判を妨げることにはならない。
結論
控訴審が第一審判決を引用して理由を記載することは適法であり、上告理由は採用できない。
実務上の射程
民訴法305条の規定を再確認するものであり、答案上は、控訴審判決の構成や既判力の範囲を検討する際の前提知識として利用される。事実認定の合理性が争われる場合、引用の是非自体ではなく、引用された第一審判決の内容自体の当否が議論の焦点となる。
事件番号: 昭和32(オ)958 / 裁判年月日: 昭和33年5月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が証拠を排斥するに際してその理由を個別に説示する必要はなく、また控訴審が第1審判決の理由を引用することも適法である。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)が特定の証人の証言やその他の証拠を採用しなかったことにつき、理由の不備がある旨を主張して上告した。また、控訴審が第1審判決の理由を引…
事件番号: 昭和36(オ)1377 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において初めて予備的請求を追加・申立てることは、当事者の審級の利益を奪うものではなく、適法である。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物に関する権利を主張して訴えを提起した。第一審の判断を経て、控訴審(原審)において初めて予備的請求の申立てを行ったところ、原審…
事件番号: 昭和32(オ)471 / 裁判年月日: 昭和36年3月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】信義則(民法1条2項)および禁反言の法理の適用について、原判決の認定した事実関係に照らせば、その主張を排斥した判断は正当である。具体的判決文からは詳細な事実や法的構成は示されていないが、信義則違反の成否は確定した事実関係に基づき判断される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の認定した事実関係が信…
事件番号: 昭和34(オ)992 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が原判決の判断を正当として是認し、大審院判例と同趣旨であると解される場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が、原判決の判断に不服があるとして上告を提起した事案。上告理由は二点あり、第一点は独自の見解に基づく主張、第二点は大審院判例(民集12巻375頁)との抵触を主張する…
事件番号: 昭和34(オ)871 / 裁判年月日: 昭和36年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において、控訴人が第一審の口頭弁論の結果および控訴の趣旨を陳述した場合には、それによって弁論および審判の範囲が画定され、相手方の反対申立てを要しない。 第1 事案の概要:上告人(控訴人)は、原審(控訴審)の第一回口頭弁論において、第一審における口頭弁論の結果を陳述し、あわせて控訴の趣旨を陳述…