判旨
控訴審において、控訴人が第一審の口頭弁論の結果および控訴の趣旨を陳述した場合には、それによって弁論および審判の範囲が画定され、相手方の反対申立てを要しない。
問題の所在(論点)
控訴審において審判の範囲が限定されるために、控訴人の陳述に加えて相手方当事者による反対の申立てや同意が必要か。
規範
控訴審の審理は、当事者が第一審の口頭弁論の結果を陳述することによって開始され、控訴人が控訴の趣旨を陳述することによってその審判範囲が限定される。これらの陳述があれば、続審としての審理の基礎は確定し、相手方による特段の同意や反対の申立てがなくとも、弁論および審判を有効に進めることができる。
重要事実
上告人(控訴人)は、原審(控訴審)の第一回口頭弁論において、第一審における口頭弁論の結果を陳述し、あわせて控訴の趣旨を陳述した。また、その後の裁判官の交替に際しても、従前の弁論の結果が適法に陳述されていた。これに対し、上告人は、相手方の反対申立て等がない限り審判の範囲が限定されない旨を主張して、原審の審理手続の違法を訴え上告した。
あてはめ
本件では、上告人が原審の初回口頭弁論において第一審の弁論結果と控訴の趣旨を明示的に陳述していることが記録上明らかである。続審制を採る民事訴訟において、当事者がこれらの陳述を行うことは、控訴審における審理の対象と範囲を画定するに足りる行為である。したがって、これに対して相手方が特段の反対申立てを行わなかったとしても、審判範囲の限定という効力が妨げられるものではない。原審の手続に違法は認められない。
結論
控訴人の陳述により審判の範囲は限定される。相手方の反対の申立ては不要であり、原審の手続に違法はない。
実務上の射程
事件番号: 昭和34(オ)870 / 裁判年月日: 昭和36年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】文書提出命令の申立てにおいて提出義務の原因についての陳述が欠けている場合、裁判所はこれを黙示的に排斥することができる。 第1 事案の概要:上告人(控訴人)の代理人は、原審において文書提出命令の申立てを行った。しかし、記録上、当該申立てにおいて提出義務の原因(提出義務を基礎づける具体的法律事実)につ…
控訴審における審理開始手続(民事訴訟法296条1項・2項)の実務的運用を確認するものである。答案上は、続審制における第一審の結果の取り込みと審判範囲の特定が、控訴人の陳述によって画一的に定まることを説明する際に活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)592 / 裁判年月日: 昭和27年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】書証の原本と写しの同一性に関する事実誤認の主張は、単なる手続違背の主張にすぎず、憲法32条違反等の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審に提出された書証(甲第5号証)の写しが口頭弁論に顕出された原本と異なる内容であるにもかかわらず、原判決がこれを原本と即断・誤解して事実認定の資…
事件番号: 昭和35(オ)236 / 裁判年月日: 昭和35年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審の第1回口頭弁論期日に一方の当事者が欠席した場合でも、裁判所は出頭した当事者に第1審の弁論結果を陳述させた上で、第1審判決を引用して判決を言い渡すことができる。 第1 事案の概要:控訴審の第1回口頭弁論期日において、当事者の一方(上告人)が出頭しなかった。裁判所は、出頭した相手方当事者に第1…
事件番号: 昭和33(オ)258 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審が行った証拠の取捨選択および事実認定が適法である限り、上告審においてこれと異なる事実を主張して原判決を非難することは、上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審が認定した売買の事実について、証拠の取捨選択や事実認定に誤りがあるとして、原判決の違法を主張し、上告を申し立てた。なお、…
事件番号: 昭和36(オ)207 / 裁判年月日: 昭和36年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決の理由記載において、第一審判決を引用することは民事訴訟法の規定に基づき適法であり、控訴審の独立した裁判を妨げるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、控訴審判決が理由の記載において第一審判決を引用したことについて、それが控訴審の不羈独立の裁判を妨げるものであると主張して上告を申し立て…