判旨
書証の原本と写しの同一性に関する事実誤認の主張は、単なる手続違背の主張にすぎず、憲法32条違反等の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
書証の写しと原本の不一致を看過して事実認定を行ったとする主張が、憲法違反を理由とする適法な上告理由(民事上告特例法等)に該当するか。
規範
上告審において憲法違反を主張する場合であっても、その実質が事実認定の過程における証拠の評価や手続上の誤りを指摘するものであるときは、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
上告人は、原審に提出された書証(甲第5号証)の写しが口頭弁論に顕出された原本と異なる内容であるにもかかわらず、原判決がこれを原本と即断・誤解して事実認定の資料としたことは、憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張した。
あてはめ
上告人の主張は憲法32条違反を掲げているが、その実質は、原審における証拠の取り調べおよび事実認定の手続に違背があるという不服申し立てに帰する。口頭弁論調書における証拠の提出・認否の記載や証人の証言に照らしても、原判決に事実の誤解があるとは認められない。
結論
本件主張は、民事上告特例法所定の上告事由に該当しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
証拠調べのプロセスに対する不服を憲法違反に形式的に仮託して上告することはできないという実務上の運用を再確認するものである。答案上は、事実認定の違法が上告理由となるかの文脈で、憲法違反との区別を論じる際に参照し得る。
事件番号: 昭和32(テ)22 / 裁判年月日: 昭和32年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が原審の事実認定を非難するにすぎない場合は、特別上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人が憲法違反を理由として特別上告を提起したが、その主張の内容は、原判決が行った事実認定の手続きや結果に対する不服申し立てであった。 第2 問題の所在(論点…
事件番号: 昭和27(オ)872 / 裁判年月日: 昭和29年9月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法令の解釈に関する重要な事項を含まないと判断し、上告を棄却した。 第1 事案の概要:上告人が提起した民事上告事件において、最高裁判所が審理を行った。具体的な事案の内容や下級審の判断については、本判決文からは不明である。 第2…
事件番号: 昭和27(オ)1125 / 裁判年月日: 昭和29年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が「民事上告事件の審判の特例に関する法律」所定の事由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人が最高裁判所に対し上告を提起したが、その上告理由(論旨)が、当時の「民事上告事件の審判の特例に関する法律」1条1号から3号までのいずれ…
事件番号: 昭和34(オ)871 / 裁判年月日: 昭和36年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において、控訴人が第一審の口頭弁論の結果および控訴の趣旨を陳述した場合には、それによって弁論および審判の範囲が画定され、相手方の反対申立てを要しない。 第1 事案の概要:上告人(控訴人)は、原審(控訴審)の第一回口頭弁論において、第一審における口頭弁論の結果を陳述し、あわせて控訴の趣旨を陳述…
事件番号: 昭和26(オ)65 / 裁判年月日: 昭和28年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が特例法所定の事由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した本件上告において、その論旨が上記特例法1条1号ないし3号のいずれの事由にも該当しないものであった事案である。 第2 問題の所在…